第3話

頭痛は治ることなく市販の痛み止めを飲みながら過ごしている。

「なっちゃん、おはよぉ。」

校舎に入ったところで美月に声をかけられる。

「おはよー。」

いつも通りの朝。私は今日も平静を装う。

「あっ、なっちゃんみっちゃんだ。」

「なにその売れない芸人みたいなの。」

同じクラスの男子に話しかけられる。

「いや、2人仲良いじゃん?あだ名が似てるなぁって思ってたんだよね。」

ほとんど話したことのない男子に話しかけられてびっくりしたけど爽やかな好青年って感じの子で喋りやすくて3人で話しながら教室まで向かった。美月は男子が苦手みたいで終始緊張した面持ちだった。男の子は藤堂暁人くんと言うらしい。陽キャなタイプで話し上手だからいつも周りに人がいることにも納得した。

教室に入ると俯いてる女の子がいた。

女の子の机には悪口が書いてあり近くでニヤニヤしてる人達がいた。その女の子とニヤニヤしてる人達は昨日まで仲良く話していたのに何があったんだろう?と気になった。

「なっちゃん、みぃ、おはよー!」

「2人ともちょっと来て〜」

教室に入って藤堂くんと別れてすぐに彩未と陽菜によって教室から連れ出される。

「ちょっ、どしたのー?」

「なになに?」

美月は不安そうに瞳を揺らして私のカーディガンの袖を掴む。

2人は私たちをトイレまで連れてきて

「あのね、」と声量を下げて話してくれた。

机に悪口を書かれてた女の子は同じグループの子と喧嘩しちゃったらしい。それが原因で仲間はずれにされてるようで。あのグループは所謂、1軍の集まりな感じであの状況に口を出せる人は誰もいない。皆、下手に口を挟んで自分が何かされるのが嫌だから遠巻きにみている。私もそんな1人で仲間はずれにされている女の子と仲良いわけじゃなかったから特に何もすることなくいつもの4人で頭痛に悩みながらもそれでも平和に毎日を過ごしていた。それから1週間後仲間はずれはエスカレートしイジメに発展していた。

その子の机にはあることないこと書かれており物が無くなることもしょっちゅうでよく探し物をしている光景が目に入った。無視しているのは同じグループの子だけではなくグループのリーダー的な子がその子を省いたクラスLINEを新たに作りその子を無視するように呼びかけたせいでクラス全体から無視されている。私も仲良くなかったし声をかける必要もないと思っていた。私には関係ないはずだったんだ。

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