アイ

葉月煉瓦

第1話 優劣

何故生まれたばかりの人間は、愛を知らないのだろう。

それは、その人の事を知らないから。

では、人間性を予知する事ができれば、世界はどう傾くのだろう。

そこに愛はあるのだろうか?



私は、知っていた。

私自身の事も、これから人生で出会う人々の遺伝子情報を。

小さな時に、科学技術を駆使して情報は受け取っていた。

言わば、これは実験だ。

運命を証明するための。


最初に貰ったのは、両親からの愛情だった。

その時点で、両親の情報も、既に知っている。

そして、両親も私の事を知っていた。

だから、両親は私に必要な教育を施した。

そして、私も私の事を知っていたので、運動や勉強など、地道に覚えていった。

ただし、私は愛というものを理解できてはいなかった。


父は言った。

「例えば、好きな食べ物と嫌いな食べ物があるだろう。その優劣が愛情ってものだ。」

「優劣をつけなきゃいけないの?」

父は困った顔をした。

「いや、そういうわけじゃないんだが…なんていうか…多少は必要なんだけど…アイにはまだ難しかったかな?」


自分の名前の由来というものに興味はあった。

しかし、残念ながら理解できなかった。


そして、小学校に上がる時期がやってくる。


それは、私の運命の人と出会う瞬間でもあった。

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アイ 葉月煉瓦 @renga_suugaku

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