第2話 神魅の儀式1

僕の名はレイン=コンフォート。コンフォート男爵家の長男として転生した俺は両親や周りの人に恵まれ5年の間すくすくと育った。


「あらぁ〜レイン!こっちにおいで」

「はいお母様」

「いい子ねレインは〜」

「えへへ」


この人は俺の母親のアイヤ=コンフォート。銀髪の映える赤眼の女性。とても優しい母は俺を生んでから2年間ベッドの上で寝たきりだったが、元気になって俺のことを甘やかしてくれる前世とはまた違ったタイプの母親だった。


「今日でレインは5歳ね。そろそろみんなにお披露目の用意を始めないといけないわね。」

「お披露目ですか?」

「そうよレイン。5歳になったらみんなにレインのことをお披露目するのよ。たくさんの人が集まってパーティをするのよ」

「パーティ!」

「そのために礼儀作法を学ばせていたのだけど...先生、レインのこと称賛してたわよ。すぐに覚えてくれるから優秀で将来有望だって。」


中身が大人だからな。この5年間俺はこの世界のことを知るために必死に文字を覚えたりしていた。最初は全く読めなかったが使用人のセバスチャンに教えてもらいながら2年ほどで本を読むことができるようになった。まだまだ初歩的な文字しか理解できないが神話や建国などを子供の読みやすいように書かれた本を与えられ、この世界についてなんとなくわかったことがある。


この世界はよくある剣と魔法の世界らしい。魔物が世界各地に出現して人の生活を脅かすところを見ていた主神ゼネルスが音楽の力で魔物と戦う術を教えたらしい。これまで剣でも魔法でも倒せなかった魔物が音楽の力で倒せるようになって、人類は瞬く間に発展した。こうして音楽の力をあたえた主神ゼネルスをたたえてできた国こそ俺が生まれた国、ゼネルス神聖王国である。


子供が5歳になると『神魅の儀式』という儀式があって、神々から神曲か神器、スキルを付与されるのだ。この結果で将来が決まるらしい。神々が自分の好みの子供に力を与えるのでどんな神様が選んでくれたのかだけでもステータスになるよう。


主神ゼネルスならば「音楽を創る力」または「神曲」

神妃グリーシャならば「音楽を奏でる力」または「力を歌に込めるスキル」

主神の子である三武神

長男アリゲルは「武器に関する神具」、長女アリエッタは「魔法に関する神具」、次男グリュ−ゲルは「武技に関するスキル」


どれでもいいものではあるものの、やはり「神曲」はアツい。なんせ神が自ら作曲した曲なのだ。それほど強力な力を与えてくれる曲はどんなところでも重宝されるからな。


「レインならグリーシャ様の力が与えられるんじゃないかしら。」

「いやいや、グリューゲル様の力じゃないか?」


どうやら父親が仕事を終わらせてきたらしい。部屋に入ってるの全く気づかなかった...


父親の名はカイル=コンフォート。武闘派の家系に育った父はたくましい筋肉を持った親バカだった。現に生まれてすぐに俺のことぶん回したからな。


「お父様!」

「おお、レイン!一週間ぶりだなぁ!元気だったかぁ?」

「はい!僕はいつも元気ですよ!」

「おおそうかそうか!」


母アイヤはグリーシャ様からスキル『歌姫』を、父カイルはグリューゲル様から武技『激烈』をもらっていた。子供は親の力に似た力を得る。自身の神様に力をもらえるのはとても嬉しいことらしい。俺だったら父側につくかな。無双したいし。

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