第19話 悪い人ではなさそうだけど
解放されたファネットは、まだ混乱の続く道に立ち尽くしていた。
今まで自分を捕えていた男と、急に現れた男を乗せた馬車はとうに走り去って見えなくなっている。
奇妙な人達だった。人質に取られた時は驚いたけれど、そんなに怖いとは思わなかった。それは傷つけるつもりはないという言葉より、優しげな目のおかげだろう。実際、あの人は「無傷で逃がしてあげる」といった言葉通り、身を挺して私を守ってくれた。
それに、もう一人の王子様のような人。言葉にすればチープになるが、昔どこかで会った気がする。いや、気のせいではなく本当に会ったことがあるのかも知れない。なぜなら……
「どうしたのファネット。大丈夫?」
結局、劇団の仲間が声をかけてくるまでずっと、ファネットは馬車の去った方向を見つめていた。
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