SoulKing

ぺけらんど

第1話 墓と魂

夢を見た

最愛の妹を無くし

仲間を無くし

騙され

疑って

狂って

自分で世界を壊してしまう

最悪の夢だった

けれどそれがとても夢とは思えなくて

最後に自分が言った一言がよく印象に残っている

『あぁ...最後にもう一度紫乃の飯...食いたかったなぁ...』



小鳥がさえずっていて

とても心地のいい朝だ

こんな日は寝るにかぎる

「お兄ちゃんおきてーーーー!!」

「ぐふぅ」

自分の上に妹がのってくる

「ご飯作ったよ!!目玉焼き!お兄ちゃんは半熟だよね?」

「あぁ...妹よ、お兄ちゃんには天使が見えるんだ...半熟卵の天使がな...」

妹が慌ててベットからおりる

「ご...ごめん...お兄ちゃんだって、だって、起きないんだもん...うう...せっかく頑張ってご飯作ったのに食べてくれないの...?」

妹は泣き始めようとしている

「あわわ...すまん!お兄ちゃんが半熟好きだっての覚えててくれたんだな?最高だよ紫乃(しの)!」

「何ってるのお兄ちゃん?昨日お兄ちゃんが『俺は半熟の目玉焼きが好きなんだなこれが』って教えてくれたんでしょ?や...やっぱり紫乃のご飯食べたくないんだ...」

「あぁ...!いや!違うんだ!もう紫乃のご飯が食いたすぎてたまらなくて頭がおかしくなってるんだ...あぁ早く食いたいなぁ...」

そんなことを言っていると自分の目から一筋の涙が出てくる

「あ...れ?」

「ど...!どうしたのお兄ちゃん!...ママとかパパの事思い出しちゃった?」

家の両親は

両働きだったけれど俺たち2人にたくさんの愛情を注いでくれるとても優しい親だった

だけど

あの日、一番最初にこの世界に墓が現れて地震が起こりそこで両親が死んだ

「あ...いや...違うんだ」

両親が死んだ日。俺の心はぶっ壊れた

だけれども立ち直れた、紫乃のおかげで

紫乃も辛かったはずなのに

俺を支えてくれた

感謝してもしきれない

紫乃は俺の宝物だ

「紫乃が支えてくれてるから両親の事は大丈夫だよ 、ありがとう。紫乃」

ありったけの感謝を込めて言った

「うん!元気ならよかった!けどお兄ちゃん?紫乃ばっかりに感謝しても意味ないって言ってるでしょ?紫乃もお兄ちゃんがいてくれて支えられたんだから!お兄ちゃん大好き!」

そう言って紫乃は俺に抱きついてくる

とってもいい子だ

可愛い

こんな紫乃がこれから操られる...許せない

絶対守ってやらな...い...と?

なんで紫乃が死ぬって...?

紫乃が死ぬのは夢での記憶...

けどなんでこんなに覚悟と殺意があるんだ...?

「お兄ちゃん...?顔怖いよ?」

「ん...?あぁごめん、ちょっと考え事してた」

まぁ注意しておくことにこしたことは無いか

そう思うと殺意が収まった

「じゃあ、飯食べたいから食卓にいこっか?」

「うん!」


「やっぱり紫乃の作ったご飯はうっまいなぁ!」

「うふふ、そうでしょ?美味しいでしょ?お兄ちゃんのために頑張って作ったんだから!えっへん!」

そんな話をしているとテレビからニュースが流れる

「速報です、北海道にまた新しい墓が現れました。墓では既に魂魄による被害がでておりこれについて政府は調査をした後S級墓守に任せる予定のようです」

「また墓...か...」

墓それは世界各国に突如現れたダンジョンのようなものだ。

墓は偉人や神などの力を使えるようになる『魂』があり、その魂が墓を操作して自分がとり憑くターゲットを探しているという

魂は人を選ぶ

魂には友好的なやつもいるが基本的には人間の体を操ろうとしてくる

稀にそれに反抗し魂を屈服させ自分の力にさせることで魂の力を使うものがいる

魂の力を使う者を世界では『墓守』と呼んでいる

魂に操られた者は『魂魄』と呼ばれている

「最近墓すごい沢山出てきてるよね~」

「あぁ...そうだな」

墓には嫌な思い出しかない

両親を間接的に殺されたからな

「私にはお兄ちゃんがいるし!墓が現れても守ってくれるよね~!」

「あぁ...絶対守る...」

グラグラ

突如地面が揺れる

「地震!?」

「いや...これは...墓が出現しようとしてるんだ!この家に!」

地面に穴が空く

「落ちる...!紫乃!!」

「お兄ちゃん...」

俺はあと一歩のところで妹の手をつかめなかった

《やはり戻ってきたのですね。マスター》


「いってて...頭が...とりあえず生きてるみたいだな...紫乃?おーい?紫乃ー?」

紫乃がいない

「っっ!紫乃!どこだ!返事をしろ!」

《五月蝿いですよ。マスター》

「誰だ!どこにいる!」

《貴方の魂の中ですよ。マスター》

「魂...まさかお前...!」

《そうです。ですが貴方に危害を加えるつもりはありません。》

「信用できるか...」

《今は信用してもらわなくても構いません。それよりはやくしないと紫乃様が...》

「紫乃...!?お前紫乃ついて知ってるのか...!どこだ!どこにいる!」

《その道を真っ直ぐです。マスター》

そして俺はこの魂の指示通りに動くと

そこに紫乃はいた

「紫乃...!紫乃...!よかった...!」

俺は泣きそうになった紫乃まで失ったら...

よかった

《やはり...遅かったですか...》

(遅かった?何を言ってるのだ...こいつは...)

「紫乃大丈夫か?」

「ふふ...大丈夫よ」

こいつ....!紫乃じゃない!

《マスター!離れてください!》

きずいた時にはもう遅かった

自分の腹から

赤色の液体が出てきていた

《マスター!!アテネ...!貴様...!》

「コード000お前は欠陥品だ。この状況どうにもできまい。さて、トドメをさしてあげましょうか...」

トドメをさそうとしたその時

アテネの手が

止まった

「お兄ちゃん...逃げて...」

「紫...乃...」

「こいつ...!まだ反抗するか...!」

《******》

「その呪文...!まさか貴様...!」

《マスター...すいません。今は逃げましょう。》

「離....せ...紫乃が...助けない...と...守らない...と」


『お兄ちゃん。大好きだよ。ありがとう』

紫乃は泣きながらそういった






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