第8話 最初の仲間との出会い
「あうう……もう売り切れちゃってましたかぁ……」
肩を落としている人がいたら、私はもちろんその肩を叩く
「どうしたん?話聞こか?」
───確かこう言えば仲良くなれるとか聞いた。本当かは知らないけど
「はひい!……えっと……あの炊き出しのタコ……」
あああれか。さっき私が倒したやつ
「さっき無くなったよ……なんかすっごい人気が出てさ
……もしかして食べたかったの?」
「いえいえ!……大丈夫です!……グウウウウウウ」
……「お腹の虫が鳴いてますが?」
私は恥ずかしそうに目を背けるその子の口に食べていたタコを差し込む
「……ムグッ!?…………ん〜〜〜美味しい!……じゃなくてありがとうございます?!」
反応がいちいち可愛い。もし私が男だったら大変なことになってた
「あの?……私はノエルって言います……その貴女は?」
「私はリツ、どうぞよろしく」
そう言うと、リツリツ……リツ……と呟いていた。
なんか怖
「あの!実は少しお願いしたいことがありまして……もし良かったら手伝って貰えませんか?」
何を手伝うというのだろうか?
◇◇◇◇◇
──────「これを買えと?」
まさかのお金を出して欲しいという頼みだった。
理由を聞くと
「実は、このアイテムを村長から買ってくるように言われまして……だけど私ドジだからお金を無くしちゃって……」
「このお酒?……そんなに高くないけど何に使うのさ」
私は単純に彼女の表情が暗かったのが少し気になったので尋ねると
「───生贄です」
そう言って自分の村で今起きていることを話し始める
「私たちの村では1年に1回、供物を捧げる必要があるんです……八岐大蛇様に」
──────「八岐大蛇?」
でっかくて8つの首を持つ蛇の神様。と彼女が説明してくれた
「ふむふむ、それでそいつになんで供物を?」
すると笑顔でこう答えた
「村を1年間恐ろしい魔物から守ってくれる守り神様ですから……その労りのため……そして来年もまた守ってくれるようにお願いするためです」
◇◇◇◇◇
私たちは馬車に乗りながらその村に向かう。
本当は別について行く必要もなかったんだけどなんか面白そうだしついて行くよ!
あ、お金は出すからと言ったら快く引き受けてくれた。
今はお酒を持ってニコニコしているが、そのすがを見て私は違和感を感じでいた
八岐大蛇、それは確か日本神話における怪物。
村の娘をたくさん食べるやつで、クシナダ姫を食べようとしたが最後はスサノオノミコトによってお酒で酔わされて退治された。
確かそんな話だった気がする。
───もし、それと同じ様式ならば何故お酒を献上するのだ?
何故自らわざと酔うものを贈り物にしている?
守り神という事は即ち信仰すべきものなはずだ……それになんで弱点に成りうるお酒を渡すのか
その疑問があったからついて行くことにしたわけだ。
しばらくして(体感5時間)
昼過ぎに私はその村に到着した。
はっきりと言おう、とてつもなく気持ちの悪い村だ
「おや?ノエル!……帰っていたのか……おおお酒を買ってきてくれたんじゃな……そしてそちらの方は?」
「知り合った人です……私たちの村を見てみたいと言うので連れてきました!村長!」
こいつが村長?
と私は疑問符が生まれた。なんともみすぼらしくない……と言うか、異様に豪華な服装をしていて、ボロボロな服を着ているノエルとは対照的だった
まぁまぁゆっくりしていくとよろしい……
そう言い残し、彼は去っていったが
「なんか胡散臭い人ですね」
私はそう感じた。言葉に嘘しかない、気持ち悪い感じ
その後、私はノエルと共にノエルの自宅に寄ることにした
「ただいま!お母さん……あれ?」
ノエルが家のドアを開けた時、そこには何も無かった。
何も無かったというのは比喩ではなく、ものが何一つ無かったと言うべきか
「?かなりものを持たない人?」
私がそう訪ねるとノエルは戸惑いながら
「いえ……?私は出る前にちゃんとものを置いていったんですけど……誰か強盗でも入りましたかね?」
……何だろう、この嫌な予感は
この村に入った時から感じている妙な雰囲気
すると後ろから一人の女性が歩いてくる
「あら……ノエル!良かったわ……貴方がちゃんと帰ってきてくれて」
「お母さん!ねぇねぇ私の物は?誰か持ってっちゃったのかな?」
そう言ってかけるノエルを突き飛ばし
「あらあらそれは残念ね」
と母親と呼ばれた人は答えた
「?!お母さん何を……?」
すると、お母さんは衝撃の一言をまるで散歩に行くみたいに気軽に伝える
「あら?聞いていなかったの?
……ノエル……貴女は明日の朝生贄として八岐大蛇様に捧げられるのよ?」
──────「え?」
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