第7話 レアスキル英雄遺伝子
オレは英雄遺伝子の内容を見た。
『スキル英雄遺伝子とは、英雄遺伝子を生成する事が出来る』
「…………」
なんか、読んでいて恥ずかしくなるんだけど……って続きがあるな!
『英雄から助言をもらう事が出来る』
これはタケじいの事だな! ってまだ続くのか。
『武具及び魔物のステータスを鑑定する事が出来る』
ふぅ〜ん、どうやって見るんだろう? ってまだ続くのか。
『レベルアップ毎にスキルを獲得出来る』
『(注)英雄の進む道によって、Lv3以降の獲得スキルが変わる』
う〜む、何か意味ありげな内容。しかし、英雄遺伝子はかなり優秀なスキルじゃないかぁ!
次は『異世界転移』だが……
『異世界転移とは、異世界へ転移する事が出来る』
異世界って流行りアニメのアレなのかぁ? そんな世界が本当にあるのかぁ? って続きがあるのか!?
『異世界人の言語互換が出来る』
『(注)転移時には、装備品以外を転移出来ない』
つまり、何でもかんでも持っていけないという事だな。
しかし、レベルアップ毎にスキルがもらえるのは嬉しい。モチベーションが維持出来そうだ。
最後に魔法障壁 Lv1、 これがあるからゴブリンを倒せない訳だが、もう少し詳しく見たいな! おっ出てきた。
『魔法障壁とは、魔素濃度が濃い異世界のあらゆる物質に蓄積された自然のバリア。意思または指向性により障壁が展開される。
魔法障壁は、レベルが同格で物理法則が有効になる。また、レベル差により障壁貫通力が変わるが、レベル差を補う為に武具に魔石を装着して障壁レベルを上げる事は可能』
ふぅ〜ん、だから異世界の武器でないと魔法障壁に阻まれてゴブリンを倒せないという事になるのか! だとすると、この世界にゴブリンって何匹いるんだぁ~?
それを、この短剣1本で1匹ずつ倒していくとしたら何年かかるんだあぁ〜!?
「なぁタケじい、1800年前にゴブリンを退治した方法って……、まさか異世界から武器を調達したって事なのか?」
「ピンポン、ピンポン、大正解じゃ! 武器を1000人分集めるのは本当に苦労したわい。カカカッ!」
「マジかぁ〜!?」
武器が1本で、異世界転移のスキルを見た時からイヤな予感はしていた。
だけど、最後まで聞けば凄い必殺技が出てきてゴブリンを一網打尽、な〜んて事を期待をしていたのだが甘かった。
「創真よ、ひとつ大事な事をアドバイスしてやろう。英雄とは必ずしも勇者とは限らんのじゃ。手段を問わず、危機から人々を救うのが英雄なのじゃ!
それと、もう一つ。このまま放おっておくと、ゴブリンは瞬く間に繁殖して、日本はゴブリンに占領されるじゃろう。
そして、今の日本を救えるのはお主だけじゃ。しかし、事を成し遂げるには命懸けの試練が待ち受けておる。どうするかはお主次第じゃ!」
「……もうすぐバイトの時間だ。ちょっと考えさせてくれ」
オレは逃げる様にバイト先へ向かった。
☆☆☆☆☆☆
一方真壁家では、両親と娘の3人で今日の出来事を話していた。
「香織、何があったのかを詳しく話してみなさい」
「パパ、ママ、今日あった事は警察から聞いてる?」
「ああ、香織が変質者に襲われた所を大和君が助けてくれたと聞いてる」
香織は大きく首を振った。
「ううん違うの。警察の人達が何を言っても信じてくれないの!」
「香織、パパとママは香織の事を信じるわよ。だから、本当の事を言ってちょうだい」
香織は両親の顔を見つめ、大きく深呼吸をしてから話し始めた。
「今朝私は、公園の中で大和君が登校するのを待っていたの」
「ええ〜、香織はあの男と付き合っているのかぁ〜?!」
「お父さん、黙って聞いてっ!」
香織パパが取り乱したが香織ママが制した。
「香織、続けなさい」
「うん。しばらく待っていると、後から誰かに抱きつかれたの。驚いて振り向くと、身長130cmくらいの緑の体をしたゴブリンだったの。
私は叫んで助けを求めたんだけど、強い力で足を引っ張られて茂みに引きずり込まれそうになった時、創……大和君が助けに来てくれたの〜」
ここで香織は一息入れて紅茶で喉を潤す。
香織パパは目をうるうるさせて何か言おうとするが、香織ママに睨まれて娘の言葉を待っている。
「ごめん、続きを話すわ。大和君は私を見ると、手に持っていた短剣を抜いてゴブリンの胸に突刺したの。すると、ゴブリンはのた打ち回って、やがて動かなくなったの」
「ゴブリンを殺せたのかっ??」
香織パパが目を見開き驚いた顔をする。
「うん、しばらくするとゴブリンの体に靄がかかって消えて無くなっちゃったわ!」
「なんという事だ。ゴブリンの死体が無いから、警察は信じなかったという事か!」
「そうなの。その後は交番に移動して事情聴取を受けたの。大和君が短剣を持っている事を問い詰められた時にパパが来てくれたの。ナイスタイミングだったわ。ありがとう、パパ!」
「ハハハ、大和君にはお礼をしないとな。今週末にでも家の食事に招待しようか?」
「えっ、いいの〜? パパ大好きぃ〜!」
香織パパは嬉しそうに微笑んだ後に小さくつぶやいた。
「短剣かぁ〜、見てみたいものだ……」
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