第7話 車すき?運転すき?

私はながいこと運転を仕事にしているが、車が好きというわけでも運転が好きというわけでもない。ただ、出来そうな仕事を手探りで続けたらいつの間にかこうなっていたというだけだ。

だが、業界には確かに車が好き、運転が好きという理由で始めた人も結構いるようなのだ。


ときどき、お客さんが音が静かだとか乗り心地がいいとか車をほめてくることがある。そうなると悪い気はしないのだが私はちょっと身構える。

一定の確率で次にでてくる言葉が、排気量はいくつかとか、何とかシリーズのエンジンはいいの悪いの、はてはサスペンションがこういう構造だとかこちらが全然知らないことを知っている前提で話してくる。排気量知らなくても車は運転できるんですがといいたいのをこらえて「お客さん、車詳しいんですね」というと、気をよくするのはわかっているのだが車の話を聞かなきゃならないのでちょっと憂鬱だ。


ちなみに、いまだに車の性能の詳しいところは興味がわかない。聞かないでほしいなと、毎日思いながら町を流している。

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