第一章 思い出したくない恋愛編

第1話 いざ!恋愛相談部へ!!

――キンコーンカンコーン


 四時間目の授業の終わりを告げるチャイムが鳴る。


「はい、じゃあ今日はここまで。」


 そう言って、現代文担当の村田むらた先生が教室を出ていき、教室内はやっと昼休みということで騒がしくなる。

 俺も教科書やノートを仕舞って、弁当を取り出していると、一人の男子から話しかけられる。


「やっと昼休みだなれん!一緒に飯食おうぜ!」


 こいつは、木ノ下勝斗きのしたかつと。この俺―鯉川蓮こいかわれんの中学からの親友であり、茶髪のイケメン。


「オッケー。じゃあ食堂行こうか。てかさっきの授業、勝斗寝てたでしょ。」

「ギクッ!い、いやーそそ、そんなことはないぞ?」

「いや、慌てすぎ。てか完全に伏せていたから言い逃れはできないぞ?」

「……あれは眠くなるような授業をする先生が悪い!」

「うわ、とうとう開き直った。その調子だと中学と同じで、付いていけなくなるよ?」

「そのときは蓮に教えてもらうぜ!」


 完全に俺任せの勝斗に頭を抱え、俺たちは食堂に向かった――


 食堂に着いた俺たちは席を確保し、俺は弁当を、勝斗は食堂で注文したきつねうどんを食べ始める。ちょくちょく雑談しながら食べ進めていると、勝斗がふと思い出したかのように言った。


「そういえば、蓮は部活に入るのか?」

「あー、考えてなかった。」


 俺たちが通う下桜しもざくら高校は、絶対に部活に入らないといけないという校則がある。ちなみに、今日は入学して最初の授業がある日であり、体験入部がスタートする日でもある。


「ふっ、そう言うと思って、お前にうってつけの部活を見つけてきたぞ!」

「え、漫研?それとも料理?」

「ちっちっちっ!ハズレー!」


 んー、中学のときは帰宅部だった俺にうってつけの部活なら、漫画やアニメ好きから漫研部、料理好きだから料理部だと思ったのだが、どうやら違うようだ。

 ちなみに、料理好きである俺の弁当は、自分で作ってきたものである。

 俺が首を傾げていると、勝斗がニコニコしながら答えを言う。


「正解は、恋愛相談部でしたー!」


 ん?れんあいそうだんぶ?


「えーと、それって恋とか愛とかの恋愛相談をする部活ってこと?」

「そう!恋愛に悩む人々の恋愛相談に乗るだけの部活だぜ!」


 この下桜高校には、色んな部活があると聞いていたが、まさか恋愛相談の部活があるなんて。


「恋愛マスターって呼ばれている蓮にうってつけの部活だろ?」

「あのねー、はぁー。まーいーや。」


 俺は中学のとき恋人がいて、その経験を生かして男女問わず恋愛相談に乗っていた。そのため、周りから「恋愛マスター」って呼ばれるようになったのだ。

 まー、恋人は色々あって別れることになったんだけど……


「おーい?いきなり暗い顔してどうした?」

「あ、いやなんでもないよ」

「そうか?まーとりあえず、今日の放課後に恋愛相談部に行ってみようぜ!」

「そうだねー。他に入りたい部活もないし、行ってみようか。」


――そして、放課後


 俺たちは、「恋愛相談部」と書かれた扉を開けた。

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