この作品は、いわゆる厨二病に特化した作品のように思います。
といっても、たとえば当て字が多かったり特有の言い回しがあったりするわけではありません。
まず、最初に印象的だったのはその安定した文章力です。主に一人称で語られるネット小説の醍醐味である表現でなおかつ、難しすぎない語彙が用いられてます。スイスイ読み進められるのになぜか世界観が把握できるので、小難しい設定が苦手な人にもおすすめです。
そしてなんと言ってもありありとわかる「カッコイイシーン」。
個人的には、この方の主人公が活躍するシーンの描き方は群を抜いていると感じました。下手すれば厨二だと揶揄されがちなそういったシーンを、そのまま先へ突っ走って旗を突き立ててしまったような感じでした。読んでいて、主人公や周りのキャラクターの動きが次々と映像化され、セリフの息継ぎまで聞こえてくるようでした。
「主人公が時間魔法を用いて生き残る」と言う軸がしっかりとしていてブレず、キャラクターも魅力的で、ふと立ち寄っただけなのに引き込まれてしまいました。
楽しかったです