ウソツキベール 來崎世空の話

園芹くれあ

第1話

「この人殺し!!」

…そう誰かが叫んだ

男は、至極当然と言ったように叫んだ者に対し言葉を紡ぐ

「テメェらが何一つ行動に移さないために尊い命が無くなったなぁ!なぁ!」

その叫んだ者以外にも煽るように民衆のヘイトを己に向けるように

「っ!なんでそんな酷いことをするんだ!」

…今度は別の誰かが叫ぶ

「あぁ?」

その言葉に男は僅かに眉をしかめた

そして、次の瞬間別の誰かは切り刻まれた…否、鎌鼬の様な切り傷が全身に、そして大地を紅い液体で染めて倒れた

「きゃぁぁぁ!!!」

当たり前と言えば当たり前だが、その現場を目の当たりにした野次馬達は恐怖のあまり悲鳴をあげ逃げ惑う者、動けなくなる者が現れる

「ッチ、うるせぇな」

男は、そう言うと返り血に染まりきった服のままその場を後にした

そして…そして、そしてこの日を境にある男が人類を3/2まで減らす大量虐殺が始まった


とある男の話から始めようか

その男の名は來崎 世空、時に殺し屋、また別の時には探偵、はたまた別の時には大学教授…いわゆる何でも屋と言うヤツだ、本当に何でもするが…な

そして、この男が來崎一家の初代当主という事になる

…否、否当時はただの何でも屋・來崎世空だった

彼は、幼少期から狂っていたかと言えばYESともNOとも言える

何を言ってるんだと思うだろう

これは悪魔でも…いや違うなあくまでも語り部である私の想像と過去の事象を照らし合わせたものであるが故の記録帳であるからだ

…さて、本題に戻そう

彼は、約14歳で両親を失っておりその後、親戚に預けられた…が、そこで問題が起こる

その親戚はとある謎の死を遂げた

だが、今だから断言しよう

初めの親戚は來崎 世空により殺害されている…と

そして己の両親すら殺害した…と

断言すると、そう言ったが根拠たる証拠は何一つ残ってはいない…

極論、私の偏見とも捉えられる

が、來崎 世空という人物は恐らく産まれる時代を間違えなければ英雄にすらなれるほどのカリスマ性を持っていた

ただ、同時に快楽殺人鬼でもあった事が難点でもあり、利点でもあった

故に、人ならざるもの…妖怪、怪異を引き寄せてしまうそんな特性を持った少年の話を


「はぁ、なんで分からんのやろか」

と、心底分からない様に言う

「そりゃそうだろう?お前の美学は歪んでるんだ」

「人の美学に対して手厳しい方で…」

「無想者の癖に」

「じゃあかぁしいぞ狂想者」

…皮肉たっぷりに言うと言い返された

「どうでもいいが方便使われるとわからんのだが?」

「やかましいじゃ」

とボケフル無視で飽きられたように言う

「それで?どうするんだ?」

「…ぶっちゃけ、殺戮していくしかないだろ」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

ウソツキベール 來崎世空の話 園芹くれあ @ssgd

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る