五.
朝日と同時に、リブラは抱いていたイアの
体を離した。眠るイアの額に、くちづけをした。
そのままさっと身を起こし、
前もって置いておいた鋏を取りだす。
イアの眠る寝具の上で、
騎士は髪を切った。
美しく長い、艶やかなそれは、
イアの眠る体に、枕に、布団に、
散らばり、朝日にきらめいた。
甲冑を身につけ、リブラは城を出た。
イアは悲しい夢を見た。
頬に涙がおちた。その冷たさにイアは少し
目を醒ましかけたが、リブラのにおいがイアを
包んだ。
彼女がいる。
目を開けることなく、イアはふたたび眠りについた。
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