設定資料 その1

精霊魔法に関連する、あれこれ

■歴史

遥か西方から海を渡りアウローラ大陸へ渡来して来たイセリア人は、当初ゴブリンやオークなどの亜人種や魔獣に対抗する手段を持ち合わせて無かった。

原住の民エルフは外の大陸から来た者たちを忌み嫌い拒絶していたが、亜人種や魔獣に同じヒト種が蹂躙されるのを見るに見かねた数名のエルフが、イセリア人の救済に乗り出す。

その際にエルフがイセリア人に伝えた幾つかの技術の中に魔法があり、それを学んだイセリア人らは長い年月を掛けて自分たちなりに体系化し精霊魔法を確立した。

しかし現在はその事実の伝承が途絶しており、イセリア人は渡来前から精霊魔法を扱う事が出来て、原住の民や亜人種などとの抗争を経て磨きをかけたと言う見解が主流となっている。


■宮廷魔法使い

宮廷とはサリィズ王国内においては、国王が王政を執行する場とされている。

王国内から選りすぐりの人材を集めたサリィズ王国の政治の中心。

その中で宮廷魔法使いは宮廷魔導師の指揮下、精霊魔法の研究開発や魔導具の解析などを担う。

戦時になると魔法使い部隊を率いるため、魔法の研究や修行の傍ら兵法の修学も強いられる。

少数精鋭を掲げている為、かなり過酷な就労環境として認知度が高く、三年在職したら寿命が十年縮むと……実しやかに囁かれている。


■宮廷魔導師

宮廷魔法使いらを率い導く存在。

サリィズ王国には現在三名の宮廷魔導師が在籍している。

現宮廷魔導師はそれぞれが国政に関与するほどの発言力を有し、本来であれば宮廷伯と同格の身分だが、現状多くの宮廷伯は魔導師らに対し謙る姿勢を示す。

その為、宮廷魔導師らのことを宮廷公や魔導公と揶揄する者も少なくは無い。

以下、現職の宮廷魔導師を簡単に紹介。


◎ルーファス・クロウサス(王家派)

最古参の宮廷魔導師。

宮廷魔導師と魔法使いを含め唯一の第七次森林戦争の経験者。

光属性魔法に関しては他の追随を許さず、大陸一の呼び声高い。

第七次森林戦争終結後は、宮廷において精霊魔法の研究に心血を注ぎ数々の戦術魔法を考案し普及した。

後進に対しては厳しく指導する事で有名だが、彼の指導を受け躍進した魔法使いは多く、ルーファス先生と慕う者は後を絶たない。

現在は高齢を理由に年の半分は宮廷を離れ、アードモア公爵領内のコトナ集落で自身の研究に取り組んでいる。

第七次森林戦争時に森の民から白夜びゃくやと恐れられていたため、戦後も白夜と敬称される事が多かった。


◎フレイザー・イシャーウッド(副都派)

土と火属性の複合魔法を得意とする宮廷魔導師。

齢五十を超えたがまだまだ血気盛んで、半分引退気味のルーファスと比べると野心が強く権力欲が凄まじい。

何かにつけて他の宮廷魔導師や同格の宮廷伯らに対抗心を滾らせるため、煙たがられ敬遠されがち。

魔法使いにしては珍しく荒々しい性格だが魔法の腕は確かで、過去に西方国家群との西部戦線においては多大な功績を挙げ名を馳せる。

土属性と火属性の魔法を巧みに操る事から火土竜ひもぐらと通り名があるが、本人はこれを嫌っており、それを耳にするとたちまち機嫌を損ねる。


◎ジゼル・アルクイン(西都派)

闇と水属性の複合魔法を得意とする、宮廷魔導師の中では新参であり女性の宮廷魔導師。

宮廷魔法使いの期間も短く、宮廷内の作法や人間関係に疎い(興味がない)。

三十半ばで宮廷魔導師に就いており、これはサリィズ王国宮廷史上最年少での就任となった。

魔法の才能は幼少期より神童と呼ばれるほどで、十代でアルクイン一門の免許皆伝を授かり、二十代の頃には冒険者として各地の魔獣を狩り功名を挙げた。

また北西部地域で武装集団が蜂起した際は、手勢を率いて僅か一日で制圧を果たし、これを機に宮廷へ召し抱えられた。

戦災孤児で幼少期の記憶が無いため出自は不明とされている。

その為、宮廷魔導師に就任する際は多くの貴族家(その殆どが副都派)から反対の声があがったが、王家主催の魔法お披露目にて十名の宮廷魔法使い(全員副都派)を相手に圧勝する離れ業を見せ、反対の声をねじ伏せた。

黒髪に碧眼と類まれな美貌を誇るが、得意が毒魔法と精神操作になるため蠱惑こわくの魔女と忌み畏れられている。


■ヴァース教

イセリア人の大半が信仰しているヴァース教はその起源から精霊魔法とは密接な関連性があった。

各門下で魔法の修行を終えた魔法使いの多くは、自己の魔法技術向上のため世界各地を修行の旅で巡るが、ヴァース教の教会に身を置き助祭や司祭を務める者も少なからず存在する。

各地方に点在する教会で幼子に魔力制御を教え魔法の素質を見極める務めも兼ねており、才能のある幼子を馴染みの深い魔法使い一門に紹介する制度は古来から受け継がれている。


■聖光の夜明け団

ヴァース教団の司祭アングリカン・クロウサスを中心に精霊魔法や魔導具の研究をする組織。

宮廷魔法使いは少数精鋭で構成されており、競争率が激しいためそお受け皿的な役割を担う一面がある。

宮廷魔法使いらの研究対象は軍事戦争関連に重きを置いているのに対し、聖光の夜明け団は聖遺物や古代遺跡発掘、伝承の途切れた魔法の研究と幅広い分野に携わっている。

現団長を務める司祭アングリカンはクロウサス一門の出で、ルーファスの弟弟子にあたる。


■北の森の魔導師

名をカロン・ファランギスと言い、その名が初めて歴史に登場したのは、およそ三百年前とされている。

サリィズ王国の最北域の広大な森林を中心に自治領を形成し、サリィズ王国建国以来一度も領地侵入を許してない。

森林戦争時は森の民シンアに多大な支援を行っている事から、サリィズ王国を敵視してるのは間違い無いが、北の森の魔導師側から王国領への干渉や侵略は史上一度も無いとされている。

過去にルーファスは北の森の魔導師に対し幾度も交渉の場を設けているが、その場に訪れるのはいつもカロン・ファランギスの代行を名乗る若者である。

ファランギス一門は古く由緒正しい家柄だが、数百年前に断絶している。

何百年も生きている魔法使いが存在するのではなく、カロン・ファランギスの名を代々継承してるだけでは?という考えが、魔法使いの中では一般的になっている。


■暁闇に浮かぶ銀星団

暁闇大洞窟網ぎょうあんだいどうくつもうの探索を目的に結成された魔法結社。

歴代の団長が全て魔法使いなので魔法結社と目されているが、構成団員は物理戦闘に特化した者も多く、今や国家から危険視されるほどの戦闘力を有している。

暁闇大洞窟網の大部分は自然洞窟だが、古代の人工洞窟と連結してる箇所もあり、自然発生した魔獣や人口的に産み出された古代魔法生物らも入り乱れて棲息している。

そのため冒険探索先としては最高難易度に指定されてある。

その為サリィズ王国内においては、魔法使いが率いる組織の中で、宮廷魔法使いと聖光の夜明け団に次ぐ評価を受けている。

現団長はアカシア・メイザースなる人物だが、着任から日が浅く詳細は出回って無い。

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