素肌にラメ
ひら
彼女
数ヶ月ぶりに会った彼女は、それまでとは全く別人と化していた。
口振りがまず女性らしくなっていたし(これは悪いことではない)、それまで化粧とは無縁だったのにあろうことかベリー色のリップ、そしてシャンパンゴールドのアイシャドウを瞼に宿していた。
その顔を見た瞬間、「これは誰?」という疑問符が浮かび上がってきた。
「珍しいね。メイクしてきたの?」
「うん。Aちゃんが化粧品買うの見たらさ、私も欲しくなっちゃって」
へぇ、としか返せなかった。だって私は今までの飾りっけのない貴女しか知らなかったから。
それと共に、この子はそんなに染まりやすい人間だったんだとどこか冷静になっている自分もいた。
私はメイクしている彼女が気になって、「どこで買ったの?」と聞くと「うーん、この猫のモチーフが可愛かったから買っただけで、どこかは忘れた」という。私はまた軽蔑するしかなかった。
思えば、私は実質寂しかったのだと思う。それまでのオタク気質でメイクにも頓着しない、あの子が好きだったのに。それが今ではすごく遠くなってしまった。
あれ以来、あの子とは遊んでいない。また過去と比較して、情緒らしきモノが乱されるからだ。
私が本当の意味で大人になった時、あの子に笑顔で話しかけられればいいと思う。
それまでは、このジクジクした思いを抱えて生きていかなければならない。
素肌にラメ ひら @misonodayo
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。素肌にラメの最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
近況ノート
関連小説
運命の人/ひら
★0 エッセイ・ノンフィクション 連載中 1話
雪を思う時/ひら
★0 エッセイ・ノンフィクション 連載中 1話
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます