釜爺は電気自動車の夢を見るか

いわのふ

第1話 だいたい、風力なんぞで電気まかなえるかって

 どだい、おかしな話なのだが、欧州には七十年代くらいから「環境問題」なるビジネス産業が勃興して近頃はその威力たるやすさまじいわけである。


 実は六十年代くらいまで、地球寒冷化問題というのが本気で議論されており、まあそういう論文とかも出たりはした。そのあとは、寒冷化ではビジネスにならないというので温暖化である。温暖化の源はすべて二酸化炭素なる生物にとって必須のガスであるとされている。


 もう二酸化炭素のハナシはいやになっちゃうくらい、確実な証拠がなくて、語るのもいやだ。だから、第一話としてわたしは取り上げたくもないし、詳述などする気もない。北欧のヒステリックな、かつて少女だった女性は、COPにもよばれないらしい。どうやら演説の内容が共産主義に傾倒してるというので、儲け話の環境ビジネスにとってはとても都合が悪いからのようだ。まあ、興味ないからどうでもいいけど。


 最近では火力・原子力をやめて風力だ、とかいいだすわけである。もう、懲りたじゃないか、君たちはたった二年前に。欧州では風が吹かず、南欧では電力不足で電力大高騰まで起こしてるわけである。せいぜい、風車や発電機を作った連中が儲けてるだけで、ほとんどの産業には大損害である。


 電気自動車がどうの、とかいうのも、欧州ではやったディーゼルがどうやら排ガス規制でいんちきやってるというのがバレちゃったからである。電気自動車にすると、「かつてはうれしかった」。なぜか。それは、世界中で原子力発電をやっていて、まともに電力調整できるのなんてフランスくらいしかないから、夜は電気が余ってしょうがなかったわけである。


 夜になり使わない電気はどうするかというと、わざわざ遠くの山にあるダムまで送電線で送り、水車を逆回転させて水をダムの上に汲み上げ、昼にまた放水して再発電してるわけである。この効率は40パーセントといわれており、60パーセントは送電・揚水・再発電によるロスで消えてしまう。それでも吸収しきれない余剰電力は、というとせっせと海水を温めて排出されてるわけである。おかげで、原発の温排水排水口の先っちょは、釣り船の絶好のポイントになっている。


 だったら、夜間電力は夜中に動かない自動車に充電しちゃえ、という議論がおきた。そんなこんなであと一歩で電気自動車が流行りかけたわけであるが、そんな折に日本で千年ぶりという巨大地震が発生し、原発は見るも無残に全電源喪失である。いまや、知っての通り、原発というのはたまった超ウラン元素が長期にわたって発熱するために、冷やし続けなければならない。とはいっても、まともに管理がされていれば防げた可能性もある事故ではあった。


 というわけで、日本はおろか、ドイツなんかは全部の原発を止めるとか言い出したわけである。なにも、そんなヒステリーを起こす必要もないのに、約束しちゃうものだから、ついこのあいだ、ウクライナとロシアがドンパチやってLNGがなくて困っているというのに国内最後の原発をドイツは停止させたわけである。


 風力なんぞで多大な電気自動車用の電力なんぞ、無理だということは二年前に証明されたばかりだったわけで、さすがに困ったわけである。困ったからなにをするかと思ったら、「e-フューエル」だそうである。


 これは、合成石油のことで、要するに水素をつかって炭化水素(要はガソリン)を作ろうという話である。じゃあ、その水素はどうするのか、というとこれまた風力で発電した電力で水を電気分解するのだそうだ。そんな手間かけるくらいなら、最初から電気を送電したらいいのに。まあ、ドイツは第二次大戦のころから、石油がなくて苦しんだものだから、石炭から合成石油をたくさん作っていた。どれほど作っていたかというと、ドイツ空軍の飛行機ほぼすべてがこの合成石油(エアザッツと呼ばれた)を使ってたのである。


 ほんとは電気分解なんぞしなくても、赤熱した石炭に水蒸気をぶちかけるだけで、水素と一酸化炭素が発生する。昔の都市ガスはみんなこれだった。だから、太宰治が泥酔して「心中しよう」とか言って寝際にガス栓開いて熟睡するものだから、ご友人の檀一夫がびっくらこいて栓を閉めたわけである。


 話を戻す。要はこのガスを使って合成石油をつくりナチス・ドイツは飛行機を飛ばしていた。だけど、石炭つかってるなんて、今じゃあ言えやしないから、水素をバイオマスと反応させとか小難しいことやり始めるわけである。

 

 もうね、くだらなくて、やってられないけれど、政治家や活動家に触発された、くそ真面目な顔した偉い「先生がた」がやるとか言うので、どうかしてる。しかし、わたしふぜいが「どうかしてる!」とか騒いでもキチガイ扱いされるのがオチである。


 現にわたしは本物のキチガイであり、精神病院でキ印をつけられてます、ということは別な小説で書いた。


 まあ、読む人もすくないだろうし、活動家にだまされてる人の方が世の中多いことだろうから、こんな駄文は埋もれてくのだろうけど、気晴らしにもなるので書いてみるよ。

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