パラレルちっぷす!!

鱸貝

第1話

 ポテチが上手く開けない。

 上から開こうとすると変なところから裂けるし、縦に開くとポテチが飛び出てふくろも変な具合に破れて、最後まで食べるかジップロックに移し替えるかしないといけない。

 僕が悪いのではない。この横にも縦にも背面からも開くようになっているポテチの袋が悪いのだ。全く、扱う人間の手先の能力を考慮していない。

 そんな具合で自分の家の暗所には中途半端に開かれてどうしようもなくなって、それでジップロックに移し替えて食べるのを忘れたポテチがぬいぐるみの綿のように詰め込まれている。

 どうにかしようとしてはいるが、どうにもならず中途半端に消費する、奥の方のポテチなんてもう黴びてしまったのではないだろうか。

「掃除しないとなぁ……」

 する気もないのに、そんな独り言を口にする僕は引きこもりだった。

 中学校から、学校に行くことに疑問を持ってそれから遅刻早退欠席が等速直線運動で増えていき、高校に受かり、一年の1学期が終わる頃には単位がぎりぎりで担任に呼び出されたりもした。

 それでも、一切不登校ではない事は褒められるべきだと思う。しっかり学校には週に3、4回は行っている。いじめや怪我でもないのに一切行かないというのはやはり罪悪感が湧く。

 ちなみに今日は休んでいる。

 ポテチは食べるが、アニメやゲーム鑑賞などはあまり行わず、ほとんどの時間を趣味の動画編集に回してる。

 いつまでも自分語りをしているわけにも行かない、なにかしないと時間が勿体ないのだから。そして僕はポテチを食べることにした。

 こういうときに暗所(暗所と言っても冷蔵庫にいれると湿気るのでオススメしない)のポテチをしょうひしたらいいのだが、そこはさすが僕と言ったところか、新しいポテチを開封する。

 今回は王道の塩味だ。塩は人類が初めて手にした調味料、その味もさることながらいつまでも食べられる。健康を気にしなければね?

 まずは表印刷とにらみ合う。そして袋の表印刷を右にして裏側の突出部分に手をかける。

            ―――――いざ尋常に――――――

「勝負!!!」

―――――パンッ!―――――

 僕は破裂音と同時に目を閉じる。

「……」

 鳥のさえずりが聞こえる、気持ち部屋の空気が澄んで、気持ちいい風が吹き込んだような気がした。

 僕は勝利を革新し、そしてついに目を開いた。

 そして僕は、今までの人生で一番キレイに開けたでろうポテチに……目を落とすことさえ忘れて。

 

 

 いや……



 なぜか、それがどうでも良くなるほど青い空を見上げていた。

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