6 掃除の掃除の邪魔をするなぁ!


 

「あのー、すいません」


 む、何者だ?


「スクショ、掲示板に掲載してもいいです? いいなら許可をもらいたいんですが」


 スクショ? 私に聞くってことは、私のスクショってことだよね? 

 何で私のスクショを掲載するんだ? あ……。そうか……。私、今掃除屋スキンしてるんだった!

 いやダメだね、そういうことを噂するのがいかん。

 というわけで答えはNOだね。 しかもいつの間にかギャラリーが集まってるんだが。


「もう、少しは晒されとるみたいだな。許可なしだったおかげですぐ消されたらしい」

 

 は? 何? こいつ以外にもう私のスクショを掲示板に晒したやつがいると? 殺そう。

 何となく晒したやつの予想はつく、あいつだ、1番最初にこの世界に来てあったプレイヤー。

 あの反応からあいつで確定レベルだろうね。私の勘をなめないで貰いたい。

 でどうやって殺しに行こうか。もうあいつは逃げているだろうし、そもそも顔もあまり私は覚えていない。 


 

 

 う〜ん、よし決めた!

 腹いせにこいつをボコす! そしてスキルを使わない戦闘にも慣れておきたい。よって体術スキルは使わないことにする。

 まずは奇襲のアルコール発射! 


『アルコール発射! クリティカル! 72ダメージ』


 か〜ら〜の!

 ホウキでボコボコじゃい! 

 

 硬いなぁ?

 まだ奇襲に対応できていない。ならこのままや殺りきる!

 

『撃破。543経験値』

『レベルが6に上昇』

『16250シル入手』

『回復ポーションを三つ入手』


 やってやった! けど堅かった、レベルいくつぐらいだったんだろうね。

 反撃に打って出てくる雰囲気もなかった。というか武装すらしてなかった。

 交戦するつもりはなかったんだろうね。

 すまんねえ。だが恨むなら私を晒した人を恨むが良い!


『すいませ〜ん? 何で気軽にキルしちゃってるんですかね?』

 

 あ、マイーナちゃん、ども。


『街中で犯罪を犯して、バレると色々めんどくさいことになりますよ? まあわたくしが何も教えてなかったのが悪いので、今回は何とかしといてあげますけど。次からは面倒ごとを犯さないようにしてください』


 ありがとうマイーナちゃん!

 次からは人がいないとこで殺すことにするよ。

 今の戦闘で元々いた人たちから更に増えてる気がするからね。

 

 まあ関係なく掃除するだけだけど。




 『ゴミ掃き! 10経験値』

 『ゴミ掃き! 10経験値』

 『ゴミ掃き! 10経験値』

 

 ふう、大分ホコリが溜まってきたね。

 わざわざ経験値が低いのにゴミ掃きをしているのは、さっきマイーナちゃんに教えてもらったことが関係している。マイーナちゃん曰く、「同じゴミをゴミ箱へほかれば、更に成長しますよ」とのことだ。

 だからまず簡単に集めることができるホコリで実験しようというわけ。

 10秒だけ、集めて、捨ててみたりもしたんだけど、『スキル【異次元のゴミ箱】のゴミ経験値が増加しました』という表記が出てくるだけで何も変わってなかった。

 ゴミ経験値って何? って質問はしてはいけないと思う。

 

 

 そんなこんなで、ホコリを集めているわけですよ。

 前にできたホコリよりも一回りも大きいホコリ!

 さあこい!


『スキル【異次元のゴミ箱】のゴミ経験値が増加しました。効果が成長しました』

 



  【異次元のゴミ箱】 ユニーク・上級【特殊・10】

 ・スキル【掃除術】がないと装備できない

 ・スキル【異次元のゴミ箱】

     ┣ 【もう腐りたくない】腐攻撃1%カット

     ┗【ホコリのように軽く】1分間AGI+ クールタイム5分

 ・成長して、どんどん強くなる

 ・破壊不可

 重量1.1kg

 

 あ、地味にAGI+2に上がってる!


 けどまだまだだなあ、実戦向きじゃない。

 これから地道に使えるレベルまで育てないと。そのためには、掃除が大事!

 

 まだまだお掃除頑張ります!


「あの〜」


 うん? また話しかけられた。


「はい」

 

 話しかけてきたのは普通の男。可もなく不可もない、ゲーム世界にはよくいるビジュアルのやつだ。

 

 う〜ん、怪しい。私をしっかりと捉えている目。話しかけてるんだから普通かも知れない。けれどそれにしては警戒だったり私の動きを観察している。

 あとは何か、面白がってる? 例えるなら、なんだろう。ドッキリを仕掛ける側の目をしている気がする。

 あとは手の動きが少しおかしい。手が腰につけ何かを取り出そうとしてるように見える。

 結論、こいつ私に何か危害を加えようとしてる可能性大。

 

 長年ゲームしてきたからね、こういう気配はわかっちゃんだよね。


「少しお話ししませんか」


 そう言いながら男が後ろに手を持っていき、ナイフを取り出してくる。

 けど予想済み。


 ホウキガード!

 

 カキン!

 

 男が不思議そうな顔をする、何でわかった? とでも言いたそうな顔。

 まあそこら辺は勘、としか言いようがないね。視線や動きが怪しいから分かったなんてほぼ長年の培われた勘が判断してるもん。

 

 さあて、向こうから殺しに来たんだ、やり返したってバチは当たらないよね?

 

 まずは軽く打撃を加える。

 殺人未遂犯も、すぐに状況を飲み込んだのか、タガーをこっちへと振り回してくる。

 まあホウキで簡単に受け流せる。相手のAGIが高くても。いや少し遅い? PK犯ならもっと速くてもいいはずだし。

 ま、関係ないか。避けれるなら気にしない気にしない。

 攻撃を予想できるし、回避も余裕。


 昔に棍棒一本でラスボス撃破したこともある私の棒捌きを舐めるんじゃない! 

 実際ホウキは棍棒+細剣÷2みたいな感覚だけど。棍棒よりは細く、棍棒にはない突攻撃を穿つ感じは細剣を彷彿とさせる。けれども、細剣よりも太く、打撃という相手を直殴りする感覚は棍棒を思い出させる。


 はい、ホウキガード! ジャストガードと同じ要領で防ぐ。変わるのはカウンター補正が乗らなかったり、防御範囲がホウキで触れる場所に限れらることぐらいかな。

 またしてもカキンといい音がなる。このホウキ、鉄製ですかね? 掃除用ではなく戦闘用ホウキだってのは既に理解してるけど。

 



 ふんふん! ふ! 

 私、ホウキ慣れてきたかも。

 このままラストスパートといきましょうか!

  

 


 ふう、何か男をあっさりと地にぶっ倒すことに成功。無様に這いつくばっております。

 結構レベル高そうだね、君。このままホウキでは終わらせはしない、私を倒そうとしたことを後悔させてやるのだ!

 食らいやがれ! そして慄きやがれ! 消費MP50に設定した威力を!


『アルコール発射! 口から侵入!』

『撃破。1354経験値』

『レベルが8に上昇』

『アサシンタガーを入手』

『13456シル入手』


 よし!

 最後は男の口にアルコールをぶちまけといた。

 そしたらめちゃくちゃいいダメージが出るではありませんか!

 

 勝った! 突っかかってくるプレイヤーも殺したし、安心安全だね!

 というわけで掃除再開!


 


 


 ルーンルーン。今思うけど掃除で経験値獲得って地味にすごいね。掃除してるだけでレベル9に到達したよ。

 

「何やってんの? セツ……」


 そんな憐れんだ声が聞こえたので振り向いてみる。


「本当に伝えてくれた通りの格好してるんだね」


 そこにいたのは私の幼馴染だった。


「とりあえず、ここ離れない?」


 何で? そうして周りを見回してみると、私が掃除を中断して、社会のゴミを掃除してた時と比較にならないほど、多くのプレイヤーがいた。


「うん、移動」

 

 私は別に周囲の視線とかは気にしないんだけど、カナは視線とかが気になるタイプ。離れた方がカナの心労が少ないと思う。

 他の人たちの視線は気にならなくてもカナからの冷たい、哀れんだ視線は効きます。

 私の心に、一時的に。慣れてるからね、ほんの少しなら私に精神的ダメージを入れることが可能です。

 いた、いたたたた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る