第2章19話:森と食料
アリスティは森を歩く。
すぐに感じたのは、ひどい筋肉痛だ。
全身の筋肉が、軋んでいる。
そりゃ、丸々2日も泳ぎ続けたのだから当然か。
背中と肩、腕の筋肉、脚の筋肉が、特に凝り固まっている。
……あと、右足に違和感があった。
肉離れを起こした右足は、もう炎症が治まっている。
しかし、完治まではしていないようだ。
そのため、アリスティは、右足を引きずりながら歩いた。
「……」
森を眺める。
穏やかな森である。
枝葉の隙間から射し込む陽光。
木のにおい。
草のにおい。
葉のにおい。
土のにおい。
自然にみちあふれた森林。
野鳥のさえずりや、獣の気配もある。
――――アリスティのコンディションは決して良くはない。
しかし、眼前に広がる景色を見ていると、心が洗われるようだった。
アリスティは、森の風景を楽しみながら、しばらく歩いた。
「あ……」
途中、竹がなっているのを発見した。
竹は、中が空洞になっているので、水筒として使うことができる。
なので手頃な大きさに叩き割り、竹筒を作った。
加工して、蓋も作っておく。
そんな竹筒を2つ製作し、つる糸を通して、自身の腰に巻きつける。
よし、これでいいだろう。
「ブググ……」
そのとき、鳴き声が聞こえた。
近くの茂みから飛び出したのは、イノシシ型の魔物である。
1メートルぐらいの平均的な大きさの魔物だ。
その
すぐさま地を蹴って、突進してきた。
「ブググーー!!」
どん、と。
猪魔が、アリスティの脚に激突する。
しかし。
「ブグ?」
アリスティは、直立したまま、動かない。
猪魔ごときの突進力では、アリスティを動かせないのだ。
ノックバックすら起こらない。
まるで大樹にタックルをかましたかのように、びくともしなかった。
「ふっ!」
アリスティは、猪魔を蹴り飛ばす。
鼻づらを蹴られ、吹っ飛ばされた猪魔が、樹木に激突する。
もちろん即死していた。
「肉は確保できましたね」
ただ、肉以外が採取できない。
なにしろ、このあたりの植生が全くわからないからだ。
そのへんの野草やキノコを拾って食べたら、大変なことになるかもしれない。
(まあ、野菜を食べるのは、人里に着いてからでもいいですね)
とりあえず肉はゲットできた。
これを昼食にしよう。
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