歴めろ。
武田 信頼
第一章:文化祭
第一話 平良と灼
※※ 01 ※※
身を焼くような
県道から正門へ
そんな十月の半ば。
「三段
それは東葛山高校の敷地内でも、ひと
高校生の制服を着ていても、見た目十二・三歳前後にしか見えない幼い容姿に、少々
彼女の思い
「
俺の言葉に再び
「馬の機動力は
更に
「……あのな、
目の前に
「なによ、
少女が押しの
「そもそも、この話……授業で
お互い
「……ってゆーか、お前ら。
「迷惑千万」
灼は部長を冷たく
「だから、その
「い……いや、まあ……そうなんだけどさァ……」
部長は困り果てた顔で、同じく存在を忘れ去られていた
「じゃあ、いいじゃない」
身も
昔から灼は興味が
もっとも、灼に認識してもらうにはハードルが相当高いのだが、部長や四字熟語とは会話が成立している関係で、まだしも良い方だと言っていいだろう。
そして『歴史研究部』として
「部長、何か伝えたいことがあったんじゃないのか?」
議事の流れをすっかり忘れてしまった部長は、そうだったと言わんばかりに
「まずは丘と農地を買い取り、原寸の『
部長の、途方もなく
「実験考古、いいじゃんッ。で、誰が
「双月、お前がやってもいいぞ。きっとやりがいがあるだろうな」
部長は笑みと言葉に思わせぶりな含みを
「ぜぇーたい、やるッ」
「ちょっと、待ってッ!」
意気盛んに即答する灼を制して、俺は当惑の声を上げる。
「正気か、部長ッ。実験考古は魅力的なイベントだが――丘と農地を買い取る!? 原寸の『
普段は
「ははは。心配は無用だ。資金については俺の株があるから問題ない。許可に関しても生徒会役員の四字熟語が何とかするから商店街や教育委員会は反対しないだろう。もちろん双月の事も心配いらないぞ。無理はさせない」
灼を引き
「こんな
やり込められた腹いせというほどではないが、俺は
「
首だけを前に
(はぁー……そうだった。この学校の文化祭は普通ではなかったな)
俺は
学校の敷地内の中で一番高い位置にある部室棟からは特に
関東ローム層の
そしていつの頃からか、紅葉の時期に
そのため、並の高校より十倍以上も規模が大きい。様々な模擬店は
当然のように今年入学したばかりの一年生にも様々な役割が与えられるわけだが、とにかく心配の種が
「どうしたの? 急に窓を向いたまま難しい顔しちゃって、さ」
いつの間にか、灼が
「ん? まあ、それは……」
ふとホワイトボードに書き出された新たなる事項を見て、思いに
(どのみち、腹を
密かな溜息を
「平良?」
灼が大きな栗色の瞳を
「おまえ、本気でやる気か?」
不安に満ちた言葉を
「とーぜんッ! あたしが『
得意げな声で俺の眼前に地図を広げて見せる。
そしておもむろに
「大丈夫。
俺が不安や恐れを
「ああ。お前なら問題なく成功させるだろう」
「ふふふ。今から楽しみ」
小さな頭を優しく
「
部長は大きく
「任せておけ。商店街との交渉と法務・財務管理、小道具の調達は俺がやる。生徒会への根回しは四字熟語。平良、お前には――」
流れを主導する中で最大の
「織田の鉄砲隊を率いて史実通り武田騎馬軍団を打ち破れるのか、それとも史実が間違ってるのか、それを現場で検証するんだ」
この時の俺の顔は、これ以上にないというくらい
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます