第15話 魔法2
「は?! アズ、もう一回言ってくれ」
「いや、だから、『クレンの町』に着いた。ん、美味い」
卵焼きを口に放り込みながら興奮している京に答えた。
今日は弁当を作ってきたこともあり、昼ごはんは屋上で食べている。
「俺、コトの街で落ち合おうっていったよな? しかも、女の子とパーティーを組んでただと! しかも、しかも、
京の持っているあんぱんが潰れていく。
「あ、やっぱり
「当然、というか情報クラン『ジャバウォック』は少数精鋭なんだよ。で、その中でも
「店長とはあったけど、
「え、マジ、店長こと帽子屋さんにも会ったのかよ。ちなみに、
そう言えば自分の身長より大きいぐらいの大剣を振り回している兎獣人がいた気がする。ジャバウォックって情報クランだったよな?
「それでな、攻略組に混じって西へ向かうことになった」
「は?! いや、何がどうしたらそんなことになってるんだ?」
攻略組でのクラン会議の結果、ワールドクエストを進めるべく、まずはルーダン魔王国と予想される島へと向かうことが決まった。もちろん、キーパーソンとされる俺も島へ向かうメンバーに含まれている。
なお、俺がワールドミッションに関わっているということはクラマスレベルのみのシークレットとなっている。
「まあ、そんなわけなので、京には悪いがクレンの町で合流ってことでお願いするわ」
どちらにせよ西へ進むには拠点の建設も必要となり、すぐに島までたどり着けるわけではないのだ。
「わかった。俺もクレンの町に行けるようにクラマス達に掛け合ってみるよ。まあ、元々はアズを待つついでもあって新人勧誘にコトの街にいただけだから何とかなるとは思う」
◆ ◇ ◆
「『
指先に火が点き、枯れ葉を燃え上がらせる。
「助かったよアズ。うっかり火種を切らすと火を点けるのが面倒でなぁ」
アンメモ世界にはライターなどという便利なものはなく火打ち石を使う必要があった。この火打ち石での火起こしがなかなかに難しく、簡単に火を点けることができる俺は引く手あまたとなっていた。
「アズさん人気ですねー」
「ん、さすが
ちょうどログインしてきた二人と合流した。
「微妙に馬鹿にされている気がするのは気のせいだよな?」
「えへへ」
「ん、気のせい。さ、
チュートリアルバトル。残念ながらアンメモにはチュートリアル的な仕組みはなく、初心者救済的なクランがその役目を担っているらしい。あのマッチョのクランとか。
初戦闘は経験しているもののきちんとしたレクチャーを受けるべく眠茶さんに連れられてフィールドへと出た。
「エフィはベータ勢だしアズを重点的に鍛えることにする。ところで、戦闘用のスキルは取得している?」
「えーと、明らかな戦闘用のスキルは持ってないです。それ以外のだと戦闘用になるのか分からないスキルが多いですね」
「アズさん、わからないってことは職業スキル的なのとかですか?」
職業スキルや複合スキルと呼ばれるスキルはいくつかの効果を内包したりしており、熟練度によって効果が増えることもある。
「職業スキルっぽいのもだけど、そもそも効果が分からないスキルも取ってる……」
アンメモのスキルは効果説明がなく自分で効果を解き明かしていく必要があるらしい。
もっとも、メジャーなスキルについてはある程度判明してはいるが俺が取っているスキルの効果は……正直全くと言っていいほど分からない。
「最初のスキル取得で初心者が調子に乗ってスキルを取りすぎて自滅するのもよくある話。6つ取るまでならそこまで問題はないから、必要なら戦闘用スキルを取ろう」
アンメモのスキルはスキルパネル上の配置によってコストが変わるため、最初は一番内側に配置できる6つまでとするのが定石となっている。
「……えーと、6つ埋まってます」
諦めて白状する。
「ん、通常スキル構成を聞くのはマナー違反。けど、こうなったら師匠として聞く必要がある」
いつから師匠になったのかは知らないが、スキルを見せてアドバイスを貰った方が良いだろう。
「一応、魔術師ビルドを想定したんですよ?」
* 『魔力操作』
* 『
* 『
* 『
* 『
* 『
これが俺が取得している6つのスキルだ。
「『魔力操作』は魔人の初期スキルですよね」
「ん、それ以外のスキルはボクも見たことない。とりあえす、
情報クランだけあってスキルの情報も多く持っているらしい。また、店長はかなりのスキルマニアということだ。
こうしてチュートリアルバトルを始める前に
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