あと少し。

琴瀬咲和

プロローグ

 物心ついたときから、自分の命が短いと知っていた。そして、〝運命〟というものが残酷だと、わかっていた。

 こんなに苦しむことになるなら生まれてこなければよかった、だなんて、何百回、何千回と思っている。

――けれど、自分で自分の人生を終わらせることが怖い。

 だから私は、自分の命が尽きる日まで、できるだけ息を潜めて生きると心に誓った。

 でも。

 君と一緒にいると、もう少しだけ生きていたいな、なんて、思ってしまうんだ。

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