第10話 昔話
昨日、お風呂に入った後すぐに寝たので体調はいい。
今日で宿を出て、王都から旅立つことになるのでクレアさんにお礼を言う。
「ありがとうございました、とてもよかったです。」
「いえいえ、こちらこそありがとうございました。また来てくださいね。」
「地図」
さて、王都から離れるために1250kmもあるフラワーガーデンに行くのには時間がかかるので所々で休憩しながら行く必要がある。
1日10km歩いたとすると125日。
その間にも異世界と日本を往復できるのか調べたい。
せっかく異世界に来ることができて、帰ったら終わりではつまらない。
けれどこんな所でずっといたら死んでしまう。
絶対に生きなきゃいけない約束したから。
私には両親がいない。私が5歳の頃、飛行機がエンジントラブルによって墜落したあの史上最悪とも言われた事故の犠牲者だった。
岐阜県上空で墜落し、そのまま爆発した。
その事故は航空会社が整備確認を怠ったのが原因で犠牲者は乗客、乗組員合わせて693名、生存者1名。
奇跡的にたった1名生き残った子供がいた。
その生存者が私だ。
墜落し、大きな爆発がありながらも生き残れたのは両親のおかげだ。
命を賭けて私を守ってくれた。私はあの時の出来事を忘れることはできない。
炎で焼き尽くされていく人達を、血の匂いでいっぱいだった飛行機の中も、飛行機の破片が刺さっても守ってくれた両親の姿を。
その時に最後に両親と約束した。絶対に寿命まで生きてと。
あと私が生き残れた理由が私自身炎、一酸化炭素の耐性があるかららしい。
どんなに両親が必死に守ってくれたとしても私は焼き死ぬか一酸化炭素中毒で死んでいた。
一酸化炭素中毒にならずに生き残れたのは本当に奇跡だった。
と医者に言われた。
そんな両親のためにも私は生きなきゃいけない。
こんな所で死んでられない。最後の両親との約束は絶対に守る。
あと2番目に重要なのが最新刊が買えないことだ。
私の固有スキルである「ブックストア」は本を取り寄せるはできる。でもそれは私が日本でいた時までに発売された本だけだ。
レベルが上がると最新刊まで取り寄せるができるかもしれないが、現実的ではない。
まあ異世界召喚なんてもっと現実的ではないけれど
とにかく日本には戻る必要があるので方法を考える。
まあ私受験生だから早く戻らないといけないんですよね。
中学3年生の今こんな異世界で遊んでいる暇はないんですけど、時間がどうなるかが分からない。
もしかすると何年も日本では時間が経っているかもしれない。逆に全く時間が進んでなく可能性もある。
色々な状況を考えないといけない。まだ中学3年生、15歳なんですけどね。
なんで中学3年生を呼び出したんだよ、受験があるのに。
とりあえず勉強はしないといけないけど。本は取り寄せることができる。
神スキルだね。
あとはペンと消しゴムが必要だけど異世界にあるのかな。いざとなったら自分で作るしか無い。
クラスメイトの皆は元気かな。自分だけ逃げて申し訳ないけど。
これは個人の判断だと思う。自分1人では生活するのは難しい人もいるだろうし。
というかあの人は大丈夫だろうか。
小学校を初めて飛び級した10歳の天才少年。作文で文部科学大臣賞を受賞するほどだ。名前が女の子っぽい名前だけどそれをいじられるとキレる。あれは怖かった。
10歳で異世界召喚されて不安にならない人は多分いないだろう。
ツンデレボーイなので分からないけど。
そもそも日本に帰れるかが分からない。
魔王を倒したら帰れるというのは嘘の可能性のほうが高いと思う。
信ぴょう性が無いんだよな。
今日は野宿になるかな。
とにかく王都から出なければ始まらないので門に行く。
「嬢ちゃんごめんね。今ちょっと門の外に出られないんだよ。」
「なんでですか。」
「指名手配されている少女が王都にまだいるかを調べるために10日間王都から外に出ることを禁止する命令が出されたんだよ。」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます