第4話

クラスの中で優の弟、彰人のことは触れないというのが、暗黙の了解になった。

というより、当の本人がいつもどうりに明るい笑顔を振りまいているから触れられない、といった方が良いかもしれない。


ホントにただの自殺なのだろうか

日野沙莉は些細な違和感を感じていた。

妹が彰人君のこと話していたときいじめられているなんてことは聞いていない。昨日マンションであったときもそんな、雰囲気は一切なかった。

なにより飛び降りた、マンションには2m位のフェンスがあり登ることさえ小学生には難しい。

手紙が家に置いてあったらしいが内容はニュースになっていない。事故ではなく自殺、ということからして、遺書みたいなものだったのだろう。

身内の不幸があったことを微塵も見せない優の強さに関心と少しの恐怖を覚えながら帰路につく

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る