異世界から来た僕が世界を滅ぼす事を、君はまだ知らない

孤宵

第一話 厄災誕生

「君には、この世界を滅ぼして欲しいんだ」


目の前に球体が浮かんでいる、そして、それは地球のような見た目で


彼女?が言う、『この世界』を現しているのだろう


ついさっきまで、平凡で普通の高校生だった、僕に


神と名乗る、彼?彼女?がそう話す



『世界を滅ぼして欲しい』



頭に?が浮かぶ、唐突すぎて、意味不明


「意味が分からないって顔だね、まぁ顔を見なくても僕は分かるんだけど」


俺の顔をじっくり見た神は、にやりと笑った後、そう話す


神の能力ってやつなんだろうか、あんまり気分がいいものではない


「簡単に説明しようか、君はね、死んだんだ、前の世界でね」


そう言われて、自分の体を見る、確かに、いつもと違い


薄いというか、なんというか、体温を感じない


ではここはなんなのだろうか


天国?地獄?わからないが、そういう類のものだというのは分かる


「ここは魂の集まる場所、というか、なんというか」


「簡単に言うと、集会所、広場、だね」


俺が口に出していない疑問さえも、すぐに返してくる


なんか、やはり気持ちが悪い


思考を読まれていると考えたら、何も考えれないじゃないか


「で、だ、死んだ君、前世に未練があるだろう?」


神が俺を指さし、そう尋ねる


未練、それが何を意味するのか俺にはわからないが


確かに、ある、気がする


大切な何かが、ある気がする、忘れている事が


「それが何なのか、僕にとって知った事ではないが」


「その未練を解消してもらわないと、天に昇れないんだ」


「魂が重すぎてね」


要するに天に昇る前に体を洗わなければならないという事か


そして、それを手伝うのが?


「そう、それが僕の役目」


何故か勝ち誇った気分だ、自分の思い通りに動かせている気がする


楽しい、これなら気分が悪くない


「で、世界を滅ぼして欲しいっていうのはね」


やっと本題に入ったみたいだ


本題に入るまでが長い人間は面倒くさいと相場が決まっている


長ったらしく話す奴は大体嫌われている


そう、例えば、中学の時の校長とかは


「バンッ」


俺の心を読んだのか、神が空気?なのかはわからないが


虚空を叩く、机をたたくように


「未練を解消するって大変なんだよ」


「生き返らせたり、事象を変えたり、とにかく大変なの」


まぁそれもそうか、前世での願いは、前世でしか解消できない


生き返らせて、事象を変える、つまりやり直しってことか?


それはしたことがない、俺でも大変そうだとは思う


「で、それをするのにも、力がいるんだよね、エネルギー的な奴」


なるほど、神様も結構面倒臭い事してるんだな


何でもできると勝手に解釈していたが、恐らくそうではないのだろう


「そのエネルギーを作るためにいらない世界を壊すんだけど……」


「その役割を君にして欲しいんだ」


なるほど、かなり面倒臭い事を押し付けてきたな


世界を壊す?HAHAHA、そんな事、神じゃないとできないんじゃないのか?



「そう、神にしかできない、それは正解だ、だから君は神と成れ」


「what?」



おっと、ついつい声が出てしまった


神になれ?それは世界を滅ぼすより難しいんじゃないか?


「人手不足なんだよね、うち」


人手不足だからって適当に選んだ、人間を神にしていいのか?


「だから、あ、こいつの魂重いなってやつに声かけて、神にして、雇うの」


魂重いってそんな、何かあるのか?、俺何かしたっけ


俺知らないうちにめちゃくちゃ善行を積んでいるのか?


「僕もそれでここに入ったんだけど」


なるほど、なら、善行とかは関係ないみたいだ


「別にいいじゃん、なんとかなるって」


ついにはゴリ押しか、どう考えても何とかなるわけがないだろう


神だぞ?神、そんな上手い話あるわけがない


絶対何かデメリットがあるはずだ


「デメリットなんて輪廻転生の輪から外れるくらいだよ、HAHA」


デメリットがあまりにもデカすぎる気がするのだが


気のせいだろうか、つまり神に成ると一生ここで働かないといけないと


そんなのお断りだ、絶対嫌だ、俺は自由に生きたいんだ


「まぁというか、拒否権なんてないんだけどね、HAHA]


え?は?待て待て流石に拒否権くらいはくれてもいいんじゃ


「じゃ、神に成る為の修行いってらっしゃーい」


神がそう言って、手を振った瞬間、自分が立っている地面が無くなり


真っ逆さまに落っこちた


どうやら、俺は『神と成り、世界を滅ぼさなければならないらしい』

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