かっぱ塚

東江とーゆ

明智桔子のメモ

メモには郷土の伝承の類いが数多記されていて


その中の一つが、西原のかっぱ塚の話だ。


話してくれたのは小田に住む老人で


明智は裏取りのため


何人か西原の住人に聞き込みをしたが、塚のことを知っている人はいなかった。


なので、この話は老人の勘違いの可能性が高いとも明智は付記している。


かっぱ塚のことは老人が父親から聞いた話で


それは父親がまだ童だった頃


かっぱ塚は西原村越辺川の辺りにあった。


塚といっても、草むらの中に放置されていた2尺ほどの石があるだけ


石には何やら文字が刻まれていたが、読めなかったという。


石に触ると河童の祟りがあると


皆が怖がっていた。


老人の父親の仲間で、キゾウという童は


常日頃から迷信の類を信じず


その日はかっぱ塚を叩いて撫で回しては、河童を散々罵った。


次の日、朝になると寝室からキゾウの姿は消えていた。


そして、それ以降キゾウが戻ってくることはなかったという。


河童に祟られて夜のうちに連れて行かれたのだと


皆が噂していた。


※字名は知っている人には分かる程度に変更されている。

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かっぱ塚 東江とーゆ @toyutoe

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