ダチョウオブザデッド

涼風小鳥

メンズミーツダチョウ1

 20XX年ある日、突如凶暴化し、人襲う者たちが現れた。

 しばらく研究成果の情報がネットやテレビラジオなどで報道され、どうやら大本は狂犬病か何かのウイルスが変異し、人にも凶暴性と飢餓感を与え理性を奪うものだと判明し、人々は感染者をゾンビと呼んだ。

感染力は非常に高く、飛沫、接触、空気あらゆる条件で感染すると言う事が判明していた。

 肉体ととしてはいきているのだが、理性を失い凶暴化して人どころかあらゆる生命体を襲う存在と化した。

意識こそ、ウイルスのせいで失われているが、肉体としては、リミッターこそ外れているが人間である。

食事もすれば怪我もする、痛覚も残っているらしく痛みからは逃げる事が多い。

 つまり一切話し合いができない人間と争うのと基本は変わらない。

 そのような状態で人類の文明はあっという間に衰退していき、世はまさに世紀末と化した。

生存者は感染しないことを願いながら、細々と生活していた、ゾンビアポカリプスが発生してから一年後。

 ホームセンターを拠点にするある生存者がいた、生存者の名は通称で川崎、アラサーの男性である。

ある程度の金属加工が行えるため鉈を取り付けたステンレス製のパイプに、金属ダクトを加工した、両手足と胸鎧、そしてさらには対人用に防炎のカーテンをマントとしてまとっていた。

まぁそんな容貌為に川崎の拠点のホームセンター周りではそこそこに有名であった。

 

ある日、大きな駅前の方に物資探索に出ようとしたところ、ホームセンター内で佇むダチョウが居た

「おい、なんでこんなとこに居るんだ」

 わけのわからなさに川崎はダチョウに話しかけるうが、ダチョウは話しかけられたことで驚いたのか川崎の胸元を突きはじめる。

 しかし、胸元にもダクトで作った鎧を装着している川崎には被害が無い。

 通称ゾンビウイルスは人以外にも影響がある為、かんせんしていればもっと凶暴化しおそいかかてくるはずだったが、ダチョウにはその傾向が見られない。

 ダチョウは落ち着いたのか飽きたのか突くのをやめて地面に座り込む。

「おいダチョウ、お前足早いんだよな?」

川崎はふと思い立って声をかけるとなダチョウが前後に首を振ったので、ダチョウの背に乗ってみる。

 ダチョウは少々、重くなった身体に疑問を浮かべながらも立ち上がる。川崎の視点が急激に上がり、普段建物の二階からでしか見れないバリケードの外側の景色が見える。

「なるほどこりゃあいい」

 川崎は戦闘自体は苦手だが、ダチョウの背からなら多少だが高所から攻撃が仕掛けられる。

 ダチョウも振り落とすようなことはしてこない。

軽く足を蹴って合図すると意図を汲んだのか、その場に座りこみ、アスファルトの隙間から生えていた雑草に食む。

 店内に置きっぱなしにしていたハーフメットをかぶり、ゴーグルを下す。

「だちょうライダー、なんちってな、なるほどダチョウは草食か」

 再びダチョウの背に乗る、今度は駐車してあったバイク用の両サイドに荷物を入れられるバッグをダチョウの背に取り付けてみる。

 少々気になるのか首を伸ばしてくちばしで突くが、放っておくことにしたらしく、そのまま前を向いた、ダチョウの背にまたがり、くびをぽんぽんとたたいてやると立ち上がり、先ほどとはまた別の形で脇腹を軽く蹴ると、ダチョウは歩き出した。


 歩き出したところで、どこから流れてきたのかそれとも交流の無かった生存者の成れ果てか、数体のゾンビが現れる。

「ダチョウ、お前も頼むよ」と首をぽんぽんとたたいてやると何故かはわからないがくびをうねうねと左右に動かす。

 近寄ってきたゾンビの一体をダチョウが軽く蹴り飛ばす。

 勿論ダチョウだってウイルスにやられた連中の獲物である。

  パキッと言う軽い音共にバランスを崩し倒れたゾンビを乗り越えて次のゾンビがダチョウにおそいかかろうとしてきたのに気付いた川崎が鉈とは逆側に取り付けたドライバーを突き刺し、撃退する。

ダチョウも、倒れたゾンビにサッカーボールキックの様に蹴りを叩きこむ。

ばぎっと言う鈍い音がする、ダチョウの蹴りの一撃で蹴りがあたった位置である鎖骨が砕けた音であった。

「よっしゃそれで大丈夫、進もう」

ぽんぽんと川崎がかかとで合図してやるとダチョウは歩き出す。

 路上にとまったままの車や、誰かが作った小さなバリケードなどの合間を抜けてダチョウがちょこちょこ歩いていく。

 大きな駅、川崎が偽名として名乗る駅、神奈川県のカワサキ駅である。

川崎達が進んできたのは知って黒川線道路、駅前に行かなくとも途中道をそれれば激安の殿堂があるがそちらは別の敵対的な生存者グループが占拠している。

 間も無くカワサキ駅に着く辺りでパーンと甲高い音がして、ダチョウが慌てだし、

前方へ駆けだす。

川崎が振り落とされないように首に抱き着きながらもぽんぽんと叩いてなだめてやると少し走ったのと川崎の手で落ち着いたのか、再び歩調を徒歩に戻した。

 駅前にある商業施設にダチョウに乗ったまま侵入する。

ろうかのてんじょうぎりぎりではあるが、なんとかは入れた。中に居るゾンビの小規模な集団に川崎の鉈とダチョウの蹴りで対処する。

途中川崎は恐ろしい一撃を見る、長い爪の一本を突き刺す様に蹴る事で、ゾンビの肉体に爪を突き刺して何らかの臓器を引き抜いたのだ、そして引き抜いた臓器を突こうとしたので、それは首を叩いて川崎は止めた。

 商業施設に入っていた百均の入り口でダチョウから降り店内の物色を始める。

世界が世紀末と化して早半年ほど、電気はまだギリギリ動いているがもうすぐにでも止まりそうだ、生ものは諦めて、川崎は瓶詰や缶詰、飲料などを中心にダチョウの鞄に入れていく。

 ダチョウが一本のリボンを気に入ってるのを見て川崎は首元に巻いてやることにした。

 ご機嫌になったダチョウを引き連れて同じ階にある本屋に向かい、農業の入門本、そしてダチョウの図鑑を見つけ川崎は鞄に入れた。

追加で家庭の医学と料理のレシピ本も入れた。

「よし、帰ろうぜ」

 表に出てダチョウにそう声をかけるとダチョウの背を、ぽんぽんと叩く。

乗りやすいようにダチョウが座り込んだので川崎はその背にまたがる。

 帰り道では大した襲撃もなく、無事に拠点のホームセンターにたどり着いた。

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