第4話 仮面パンダー
ダウンロードチャンネル。
この時代においてのテレビのようなものだと思ってほしい。
端末に番組をダウンロードして、
古いものでは端末に映し出し、
新しいものでは、端末を介して、電脳にインストールする。
ダウンロードチャンネルは無料。
気軽にダウンロードして、
電脳なら、番組を体感できる。
ダウンロードチャンネルは、
政府が公認しているものと、
政府が認めていないものがある。
当然のように、
ラブパンダも、白黒の敵も、
自分達の主義主張を織り込んだ番組を作る。
パンダの扱いに極端に差ができる番組が、
当然のように氾濫する。
仮面パンダーという番組は、そんな時代にあらわれた。
仮面パンダーは、
数百年前の英雄番組を踏襲して、
ある種のノスタルジックさに訴えるようなものだ。
悪人を、怪人を、ばったばったと倒していく。
たまには、白黒の敵と思われるものが倒されていくのも混じる。
基本は勧善懲悪。
スポンサーとして、政府がついている。
政府公認の番組だ。
ダウンロードチャンネルの基本として、
政府公認の番組はダウンロードが少ない。
アンチパンダの風はここにも吹いている。
けれど、仮面パンダーは、
妙なところでダウンロード数が伸びている。
それは、仮面パンダーのスポンサーとして、
公然の秘密で白黒の敵がついていて、
仮面パンダーが英雄でありながら、怪人ということもある。
仮面パンダーは、怪人を倒す。
けれど、仮面パンダーの世界では、
彼のしていることは認められない。
怪人にとっては、特殊な力を用いた殺戮であり、
一般人にとっては、脅威にうつる。
そんな描かれ方をしている。
たまに仮面パンダーの組織があらわれることがある。
過去の栄光にすがる、正義の味方といった描かれ方だ。
仮面パンダーに変身するヒーローは、
基本、その時代のかっこいい男である。
子ども人気、女性人気だけにとどまらず、
パンダ主義、反パンダ主義、
どちらからもマニアックな人気がある。
そんな、奇妙な番組だ。
電脳でダウンロードできるならば、
ぜひとも仮面パンダーの変身したほうのアクションに注目してもらいたい。
それは、凶暴なパンダを思わせる、
野生的な動きだ。
人間のように洗練されつつ、
三毛パンダのように理性が外れている。
格闘とも違う、暴れているにしては鋭い。
パンダと人の融合という、
仮面パンダーの活躍を、
みんなが固唾を呑んで見守っている。
それは、主義主張をこえた娯楽。
気持ちがいいほどの、カオス。
この番組の中では、
仮面パンダー以外は、何もかも、かっこ悪い。
仮面パンダーの制作会社は秘密にされている。
けれど、噂では、
知能を持ったパンダが作っているらしい。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます