第3話 再会

〜3年後〜






俺は子供も産まれ、仕事にも精を出していた。


ある日、残業に疲れふと目をやった携帯のメールの画面で、忘れていた彼女の名前を見つけた。




正直、家庭も仕事も傍から見れば順風満帆に見えるような生活をしている


だけどどこか心にぽっかり穴が開いているような、


空いたパズルのピースが埋まらなくて、もうどこにいったのかもわからなくて、探すことすらやめていたようなそんな諦めも混じった不満足な毎日を生きていた。




彼女との思い出が頭をよぎる




本当に素敵な女性だったな、出来ることならもっと触れ合いたかった


もっと彼女を知りたかった、キスも身体も彼女のなにもしらないまま終わってしまったから




そんなことを考えていると気付いたら彼女にメールを送っていた






「久しぶり!元気してるか?」と生存確認みたいな短文だった気がする。




まず、返ってこない自信があった。


俺のメールなどとっくに消しているだろうし、拒否されててもおかしくない。


「なにしてんねやろ アホみたい」と思いながら家路についた。




次の日の朝携帯を見て驚いた


彼女から普通に返事が届いていた。


「元気やで、まあは?たまにはご飯でも誘ってや」




その時何かが俺の中で弾けた


家庭もある身でしてはいけないはずの・・・


その理性やリミットが無くなったのがわかった




夢中に返事をした。


彼女からの返事がまた待ち遠しくてたまらない


こんなにドキドキするなんて何年ぶりだろうか


二人の思い出を確認しあった。


彼女は全部覚えていてくれた。


それどころか俺が忘れているような事まで思い出しながら話してくれた。




2週間ほどやりとりをして会うことになった


仕事終わりに、


まだ住んでいた彼女の家の最寄りの駅へ迎えに行った




約束の場所に着いて彼女を待った


胸の高鳴りを抑えきれず


思い出の中の純心で綺麗な彼女を幾度となく頭の中で思い出しながら




「こんこん」


助手席側の窓を叩く音がした


「久しぶりやね」


そう言いながら彼女が俺の車の助手席に深く腰を落とした


振り向いた先にあった彼女の横顔は


驚くほど綺麗で、でも思い出のそのままの彼女で、




「おう!すぐわかった?」




「うん、まあは全然変わらんな」




「そうか?」




ただ、ただ…嬉しかった


あの触れたくても触れることさえ出来なかった天使のような彼女があの頃となにも変わらない容姿と笑顔で会いに来てくれた




こうやってまた会えるなんて夢のような気分だった。




あのときは緊張であまり話も出来なかった気がするけど、たくさん話したい


照れてしまってお互いに顔もあまり見れなかったけど、


もう二度と忘れることがないくらい彼女の姿を焼き付けよう


そして・・・触れたい


あのとき出来なかったことがしたい、俺の頭と身体はそんな欲求に覆い尽くされていた




つづく

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