回帰
いきなりの奇襲によって傷を受けたミュートス第二王女殿下。
それと共にミュートス第二王女殿下は魔法の発動を思わず止めてしまったことで僕も含めた三人の身体が宙に浮いてそのまま下へと落ちていく。
「あ、あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああああああああああああああああっ!!!」
だが、残りの魔力を稼働して魔法を発動させる僕が二人ごと持ち上げて地面の上にまで戻ってくる。
「おせぇぇぇぇぇぇぇぇえええええええええええええええええええええええっ!」
「ぬぉっ!?」
「この程度で、倒せるわけが……ッ!ないだろうっ!舐めるなぁ!」
そんな僕たちの方へと地を蹴り、その手に握られている剣で攻撃しようとしてきていた男に対して、僕は自分の手にある魔法で作り上げた剣を合わせて攻撃を受け止める。
そして、
「らぁぁっ!!!」
ただの力技でその男のことを弾き飛ばして後方へと下がらせる。
「ぐぬっ!」
自分の前に立っている男。
それはこの一件の黒幕であり、今は世界最強と戦っているはずの男である……何をどうしたのかは知らないが、あの世界最強の名を冠する女から逃げおおせて地中から上がってきていた僕たちのことまでを察知して待ち伏せしていたらしい。
「……クソが」
慢心した。
何処までいっても、僕は詰めが甘い……ッ!
「ふぅー」
僕は息を吐きながらとりあえずの後悔は捨てる。
「……どこまでも、忌々しい男だ。エスカルチャ家の当主っ!どこに行っても我らの邪魔をするか」
自分の前に立つ男は僕のことを睨みつけながら、これ以上ないほどの憎悪と共にこちらを見ている。
「……ほざけ」
僕はそんな男の言葉に対して短く答えながら自分の剣を構える。
「お前らのたくらみが、生涯成功することなどあるはずがない」
「……そんな、ふらふらの状態で何ができる。ここだけは、勝たせてもらうぞ」
互いに互いの事情を知りつくしている……そう互いに謎の信頼を持ち合っている僕と男は共に剣を構え始める。
「……行くぞ、アルケー」
そして、僕は男の名前を呼びながら地面を蹴るのだった。
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