仕事終わり
流石にあれは酷かったと思う。
僕は何も悪いことしていないのにいきなり殴れたのだから……僕は所詮、ちょっと下ネタを言っただけなのになんでこんなにも罰をくらっているのだろうか?
「それにしても凄いな。まさか、ここまで完璧に職務を済ませてしまうとは。相も変わらず化け物らしい。ふふっ……流石は、この僕が認めた相手というべきかな」
「確かにそうであるな!流石は我と血の盟約を交わし、我が契約者なだけはあるということか……その輝き、まさに宝石がごとし。月よ、太陽よ、創造新よ、我らをその目に映せ!」
「……ここまで完璧にやれると、私の方でも何も言えないわね。無理に抱えていた仕事を随分ときれいにしちゃってまぁ……相変わらずやるべきこととやらなくてもいいことの線引きが上手いわ」
内心で不満を覚える僕に対して、アンバー共に済ませた書類仕事を見ていた三人は歓心をその胸に抱く。
「これでも餓鬼の頃から当主として活躍している御仁だよぉー?一人で自分の家の影響力を急拡大している、ね?王家すらも丸め込む僕の手腕を舐めないでほしいねぇ」
関心している三人に対していきなり殴られたところを冷気で冷やしながらベッドに寝っ転がっている僕は自信満々な答えを返す。
実際に、胸を張るに値するだけの仕事ぶりではあると思う。
罰の範囲を超え、生徒会が抱えていた書類作業の全てを終わらせてみせたのだから。たった二人で一週間はかかると思われていた仕事を終わらせたのだ。
全然誇れるだろう。
「……私はすっごく複雑なのだけど」
そんな僕の言葉を聞いたミュートス王女殿下は実に不満げな言葉を漏らす。
「それじゃあ、かなり暇になるね。いつも僕たちは書類作業やら依頼に追われてばかりだから……」
「うぅ、すまない……私が不甲斐ない長なばかりに」
セーラの言葉に対して、生徒会室の隅で『私が無理やり同衾しました』と書かれたプラカード首からぶら下げた状態で正座し、反省させられているアンバーが項垂れながら答える。
「もっと、うまくやれたなら良いのだけど」
「甘いわ!書類作業をたかが学生風情が完璧にこなせるなんて驕らないことね!ノアがおかしいだけで、普通は簡単なものじゃないの!少しずつ学んでいけばそれで良いのよ!わかった?」
自信なさげなアンバーに対してミュートス王女殿下は声をかける。
「さっ、暇ならみんなで何かしましょう?たまにはのんびり過ごすのも良いと思うわ」
そして、そのままミュートス王女殿下はこの場を仕切っていくのだった。
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