第51話 空なりの気遣い
僕は記憶の糸を
「そう言えば」
「なんだ」
「僕に甘えないでいられるようになりたい、負担になりたくない、と以前に何度も言っていました」
「なるほどそれでか」
「それしか考えられません」
「しかし、なんと言うか……」
ムネさんはあご
「いい年してガキだなあ、お前ら」
「うっ」
「そういうことならまあいい。
大丈夫かと言われればおそらく大丈夫だ。だけど、僕の心の中は全然大丈夫じゃなかった。空さんが馬術乗馬部門に異動するとなれば、空さんのことを熱い視線で食い入るように見つめていた
「空さんは馬術乗馬部門に異動しても大丈夫です。問題ないと思います」
ムネさんが僕の眼をのぞき込むようにして言った。どこか僕を案じるような目だった。
「もう一度確認するが、お前は本当にそれでいいんだな」
「……はい、構いません。僕なんかのことより空さんの希望をかなえるべきだと思います」
「そうか、判った。あとで後悔すんなよ」
「後悔なんてしません、絶対」
「よし」
ムネさんはその場から立ち去る。
その日の夕食後のミーティングでムネさんは空さんの異動を発表した。
ホールは一瞬静まり返る。このあとまた噂話が嵐のように吹き荒れるのだろう。遠くに座っている
夕食後の空き時間、僕は
【次回】
第52話 自身を憎悪する空
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