帝国海軍の憂鬱(予算の無駄使いを指摘されるのは辛い)
しゃあっ(大日本帝国ゴーレム艦隊連載中)
第1話 赤城と加賀の憂鬱
『ほう。これが空母赤城と加賀の完成予想図ですか。』
と石原莞爾が彩色された正規空母赤城と
加賀のイラストを観察していた。
東条英機も肩を寄せ合うように観察している、、、
海軍側の代表者達は心の中で、
『『『お前達は仲が悪いんじゃないのか!』』』と怒鳴っていた。
政府及び皇族の皆様方、そして陸軍と
海軍の将官が集まっての予算の検討会というのが、この会合の趣旨だが、
予算の無駄使いが指摘されると予算が減らされかねないのだ。
自由に議論して貰いたいと言う事で
天皇陛下は居られないが、別室にて
御注目されているらしい。
実は海軍は敗北続きなのだ。
『陸軍は近代化の為に宇垣軍縮を行ったが、海軍は軍縮は行わないのか?』
と言われて海軍側は言葉が出なかった。
更に、『国家予算から見て海軍の六六艦隊計画案は実現不可能だと思う。』
と言われて戦艦の建造の速度が大幅に
スピードダウンする事になったりも
した。
1905年に『イギリス海軍が素晴らしい戦艦を建造していると噂で聞いたが、海軍は情報を収集していないのか?』
(ドレットノートの事)
と言われて、『海軍が今、建造中の戦艦は完成した頃には時代遅れな旧式戦艦になってしまわないか?』と言われて返す言葉が出なかった事も昔にはあったのだ。
こうして、『海軍は豊富な予算を無駄に浪費しているのでは?』と言われると政府の人間や官僚達からも冷たい目で見られるようになり、予算は増加するどころか維持するのも難しいくらいになりつつあるのだ。
八八艦隊計画案を出そうとする佐官達と将官の間で大喧嘩になった事もあった。
六六艦隊計画案すら縮小され、戦艦の建造がゆっくりになっているのに、
八八艦隊計画案など出せるはずもなかった。
陸軍では勉強会が行われて、今では軍艦の設計や最新の海軍の軍艦の軍事知識すら勉強しているらしい。
どこの国も海軍と陸軍の予算の奪い合いは一緒である。
どうやら陸軍の連中は他国の陸軍の人間から情報を集めているらしい。
イギリス議会では戦艦ネルソンとロドネーが欠陥戦艦なのでは?と、イギリス陸軍側から猛烈な抗議がされて海軍が困っているらしい。
また、第一次世界大戦での戦艦の触雷による沈没なども海軍の不手際では?と責められているらしい。
陸軍の連中の狡猾なところは、世界の中でも最も早く36cm砲を搭載した、戦艦金剛や、41cm砲を搭載しビッグセブンと呼ばれた長門と陸奥の建造には何も言わずに大賛成したところだ。
(でも副砲は減らして高角砲を倍に増やしては?とは言われた。)
こうして、良い予算の使い方には何も反対はしないと言われ続けた為、益々政府の人間や官僚達は馬糞陸軍の意見を重視するようになってしまった。
金剛級の三番艦の建造案を出した時に、基準排水量を大きくして38cm砲を
八門搭載した戦艦を建造してはどうか?
と言われたのも痛かった。
38cm砲を八門搭載の戦艦ともなると
新規設計の建造であり、設計するだけで年単位の時間がかかってしまう。
陸軍はそれを狙っているのだ。
頭が痛い。
赤城と加賀はなんと言われてしまうのか。三段式空母がどう言われるのかと
想像しただけで胃が痛くなる。
(この世界では加賀級戦艦の建造の方が早いので、本当なら加賀級空母1番艦と2番艦であり、『加賀』『土佐』となっていてもおかしくなかった。
だが、船首を延長してデーターを取りたいと艦政本部が望み、それなら『赤城』と命名しようと未来知識保持者が押したので赤城と加賀になった。)
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