絶対可愛くて天才で努力家なあいつを振り向かしてやるんだからね!

燐紫

第1話 〜負けたくない!!!〜

キーンコーンカーンコーン


「始め」


チャイムの音と同時にテストが始まる。

今回こそはあいつにぜええええたいに勝ってやる!



初めのテストは数学①

問題に目を走らせる。

(いける……解き方がわかるものばかり。

計算ミスさえしなければ……)

前回は、たった1問差だった。ケアレスミスとはいえない。そんなのは甘えだっ


カリカリカリカリ

シャーペンを滑らかに走らせる。

まるでジェットコースターのように……

毎日7時間以上頑張ったからな。努力は時たま裏切るけど結構私の味方なはず!!


ふと、目線をあいつに向ける。

普段は にへら としてるのに、

こういう時だけキリッっとしてんのずるいっ

さっきまで、

『 えー全然勉強してないかも〜』

って言ってたくせに

かもって何って思ったけど!!してたってこと!?


でも、私は知ってる。テスト期間1週間前から、バンドの練習してくるとか言って

本当にバンドの練習した後に、図書館で8時まで勉強してたこと!!

そしてそのあと、コンビニで「天使のシュークリーム ふっわふわやで♡ 」を買ってお口に入らなくてはふはふしてたこと!!!!!!!!!!!


「残り10分です。」


え、やっば。見直しがまだだ。

自分の答えを信じないで……

あ!やっぱり間違えてた!気づいて良かった。

あとは、大丈夫そうか


キーンコーンカーンコーン

「やめてください」


ギッリギリ間に合った。

自信はある。ちょっとだけ眺めてたけど、解き終わってからだし


今回は、私の得意な微分積分だからいけるはず


ドンッ!!


「イブ、テストどうだったー??きっと余裕でしょ〜」

「わぁ!!アム、急に話しかけないでよ!そんなことないよ。先生の満点とらせないぞっていう気持ちがじわじわ伝わってきたし……」

まじでびっくりとしたあああ。てか、眺めてたことバレてないよね…… 。

「そういやイブ」

「ん?どうしたんだい」

「次、論国だけど作者名とか覚えたの??」

(バレてなさそう良かった……)

「あ、やばい。見ないと、おじさんの名前覚えにくいんだよね。」

「わかるわかる。かわいい女の子とかだったらすぐ覚えられるんだけどね。」

(また、言ってるよ、、)

「ねー、アム。ここ質問したいんだけど、聞いていい?」

あ、行っちゃう……

「いいよー。じゃあ次も頑張ろうねイブ。」

「うん」

アムが私の机から去っていく。

もう、5分も使ってしまった。切り替えて、教科書を開いて最終確認をしないと


「ねえ、イブはほんっとうに私の顔が大好きだね」


バッ


振り返ると、小悪魔な笑みを浮かべたアムが私のテスト用にハーフアップした髪に彼女のすらっとしている指を無造作に通して、ほかの友達の元に走っていくのがみえた。


あっっつい。やってしまった。


すぅー はぁーすぅーはぁー


色々考えると爆発してしまうから、また後で考えよう。


テストに集中……


ってできるかああああああああ。


バチンッ!!


クラスのメンツがこちらにチラッと目線を向けるが、またテスト前の確認へと戻っていく。

結構強く叩いたからか、落ち着いた気がする。


勢いで、3教科のテストを終えた。

つっっかれた……

休憩でチョコをチョコっと食べているから、太りそうで怖い。


論国の今回の初見問題は、パン屋で出会った2人の少女の話だった。2人とも、パン屋で、パン作りの体験をして、Aは周囲がみな、パンをまた作ってみようとか言う中1人こんな重労働なら、これからもパンを買おうと思い、自分の意見を正直に述べるのか葛藤する。Bは、そんななか、堂々と臆面なくここのパンを買うと宣言をする。その後、意気投合したAとBは共に話すのだが、似たように見えた2人は少し違っていて……というものだった。


私は、自分がAに似ている気がして少し複雑な気持ちになった。

そしてあいつは……


ギュ!!

「おつかれい!!」

後ろから勢いよく飛びつかれた!

「まだ、明日明後日と続くんだからそんなんだと体力持たないよ。」

「相変わらず、堅苦しいですなあ」

何事もないように手を払い除ける。

内心バックバクで心臓が今にも破裂しそうだ。

「ちぇっ、けち」


心臓がまじでもたないんだよ。


「じゃあ、帰るね〜!バイバーイ!!あ、美玲ちゃん、今帰るん??一緒に行こ〜。えーマック行こうよ頑張ったご褒美♡そんな細いんだから〜」


嵐のように過ぎ去った……。

実はあいつが学年1位だと知っているのは(多分)私だけなんだ。この高校に入学してから一度も1位を取れず、伝説の1位をずっととっているだれかがいるらしいという噂を聞いて、目星をつけて探し回って、278番目に見たのがあいつだった。芸術面での才能にあふれていて、バンドのギターを担当していることが有名だった。同クラでたまにちょっかいをかけてきていた。共通の趣味があるということで何度か話したことがあった。

どうして知ったのかは、先生に呼ばれて雑用を任された時に、たまたまパソコンが開いていて見てしまったのだ。


2909//////////// 11 6 13

2910///////////// 99 151 231

911////// アム 1 1 1

2912//////////// 168 181 145

2913//////////// 21 16 22




あー、今回のテストこそはどうだろうか。

でも、あいつはいつも通り表面に出さず必死に勉強していた。嫉妬心はすっごくあるけど、尊敬してる。


猫みたい。


あー私も早くお弁当食べて、勉強頑張ろ



テストはまだ終わらない







「ばればれなんだよね。」














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