勇者が死んだ。腹上死で
ロマンシング滋賀
プロローグ・旅の終わりは突然に
世界を救う唯一の可能性。
人類の願いと女神の祈りを一身に受けた勇者が、自らの命を燃やしながら、その剣を振り下ろす。
「あっ、いやっ! もう、やめてぇぇ!!」
だが、しかし。
対峙する敵は魔王ではなく幼い見た目の淫魔。
振り下ろした剣は聖剣ではなく、お○んちん。
その日、勇者は死力を尽くし戦った。
だが、一歩及ばず、無念にも敗れ去り……淫魔の腹の上で死んだ。
「幸せそうな顔しやがって……」
第一発見者である、勇者を支えてきた幼馴染の戦士は、複雑そうな表情でそう言ったという。
☆
――そんな夢を見た。
なんてオチならどれだけ良かっただろうかと、腹上死している我が親友にして人類の希望を呆然と眺める。
「うっ、うわぁぁぁん!! 助けてぇ……」
勇者を殺した敵を前に俺は立っている。
仇でもとるべきなのだろうか?
いや、でも……ぱっと見、被害者は淫魔の方だし、ガン泣きだしな……。
「何があった? 何故、淫魔が実体化している?」
俺はガン泣きしながらも、腹の上で死んでいる勇者を退かそうとする淫魔に問うた。
「ぐすっ……ちょっとだけ、食事をしたつもりだったのに、無理やり実体化させられて……」
淫魔は人の精気を食す悪魔だ。
人を狂わすような妖艶な見た目をしているが、その身に触れる事は叶わない。
悪魔とは生物ではなく、概念。意思ある概念であり、生身の生物ではない。
ただし、悪魔にはある特性がある。
それは、魔力を与える事で実体化する事が出来るという点だ。
「……それで?」
「言わせないで……」
俯いてしまった淫魔を見て考える。
つまりは、淫魔が勇者の精気を奪いとり、その精気に含まれる魔力で実体化し、それを見た勇者がハッスルしたということか……。
「どうすれば良いのかがわからん……ッ!」
親友よ、幸せそうな顔で逝きやがって。
俺はこの後どうすれば良いんだよ。
腹上死勇者爆誕なんて、俺の手に負える事件じゃねーよ。
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