ぼくらのふぁんたじー
紅葉紅葉(もみじこうよう)
上
第1話 まちにまったふぁんたじー
フルダイブ型のVRゲームに関して幾つもの問題があり、対象年齢を18以上にするべきと言う意見もあったが、日本では15歳以上で何とか落ち着いて販売されている。
「来た! 来た! キタァああ」
十五の誕生日の一週間前に市役所からフルダイブ機器の購入許可証とそのIDが届き、父に頼んでネットで購入したのが今届いたのだ。
プレイするゲームは決まっている。
そこには既に誕生日を迎えて先に遊んでいる幼馴染み達がいる。
ゲームの前にある面倒な初期設定を終わらせてやっとゲームをインストールした。
Free Life fantasy online。略称FLF。
そのゲームはVRMMOとしては今年で十年目になる有名なゲームだ。
身長は160cmちょっと見栄を張ったけど、リアルに近い体型にし、後はこの日の為にずっと悩んで決めてある。
ユキト・スノウ・スターミヤ
性別 男
種族 ヒューマン
髪は黒髪の長髪にし、決定を押した。
キャラクターネームは先着順で同じ名前は使えない。そのため、ミドルネームやファミリーネームを付けるこを推奨されている。
上手く被りもなくすんなり次のステップへと移る。
草原に木で出来た人形がぽつりと立っており、テキストには操作に慣れようと書かれ、ステップ1として歩く、走る、ジャンプと体を動かし、ステップ2として物に触れることなり、インナー姿のキャラクターだが、突然現れた旅人の服を拾いアイテムボックスに収納して装備までの流れを教えられ、ステップ3の『木剣で人形を攻撃してみよう!』となり、落ちている木剣を拾って装備し人形を何度も叩いて基本操作のチュートリアルは終了し、始まりの町へと転送されるが、アルタ王国、デネー帝国、ベーガ共和国の三つの国のどれかの町を選ぶことになるが既に決まっているため、迷うことなくアルタ王国に転送された。
転送された場所は大きな噴水がある中央広場でゲームの世界観に胸を躍らせた。
「ユキト!」
聞き覚えのある声色の方へ視線を向けると、180cmはある大きな金髪のイケメンがそこにいた。
「その声は
「ああ、FLFじゃあタッツー・リュウ・ドラシーて名乗ってるから、タッツーて呼ぶかタッちゃんて呼んでくれ」
「それにしてもリアルを知ってると背が高いのに違和感しかないね」
「ハハハ、まあ、すぐに慣れるだろ。二人とも酒場にいるから、そこで少し話そうぜ」
「オッケー」
タッツーの背中を追いかけて酒場に入ると、思い描いたファンタジー世界の酒場の風景に感嘆な声が漏れてしまった。
「タッツー! ユッキー! こっちこっち」
「ユキく〜ん」
奥の席からそう呼ぶ二人の女の子の声が聞こえタッツーと向かい彼女達の向かい側に座る。
一人は魔法使いだと分かり易いウィッチハットとローブを着ているレナという女の子で、もう一人はこちらも神官だと分かり易い神官服を着ているラナと言う名前の女の子だ。
「えっと、魔法使いの方が玲奈とも何でファミリーネームとか見えないの?」
「ああ、それな」
プレイヤーネームを見るが、フルネームではなく、名前しか見えなくて訊ねると答えは簡単な理由だった。
フルネームは悪質なプレイヤーや迷惑なプレイヤーに絡まれるのを少しでも防ぐのには便利なんだそうだ。
「それにしても半年近くの差があるけど如何する?」
キャラクター自体にはレベルは存在しないが、魔法などをスキルとして習得していくシステムでそのスキルを選択するためにジョブに就く仕様になっている。
「ユキトは如何したいんだ? このまま俺達と一緒に遊ぶか、慣れるまで一人で遊んでみるか?」
「ん〜、そうだな。初心者専用のクエストがあるらしいし暫くソロで遊んでみるよ」
「そっか、んじゃあ、俺達とフレンド登録だけしとこうぜ」
「ああ。何かあったら直ぐに連絡するから」
「何かなくても連絡してよね」
レナが自分のウインドウを開いて、フレンド申請が来るのを待ちながら呟くと、ラナがそれを拾う。
「そうだよ〜ユキくんはいつも連絡くれないんだから」
「わ、分かった。ちゃんと連絡するよ奈々じゃなくて、ラナ」
「約束だからね〜」
フレンドリストに三人の名前を登録したところで、レナがリアルで親に呼ばれログアウトするために店を出て行き、ラナも一緒にログアウトするために店を出て行った。
基本何処でもログアウトできるが、宿屋などプライベート空間のある場所でログアウトするが好ましいとされており、仮にデータの破損やアカウントのパスワードの紛失などが起こった際にそういった空間なら、ある程度保証してくれると噂されている。
「二人とも落ちたし、俺も昼飯食いに落ちるか。ユキトは?」
「少し散歩してから落ちるよ」
「おう。んじゃなーーそうそう、今月の最後の週は空けとけよ」
「何で?」
「ギルドを立ち上げるためのクエストを受けるからだよ。ユキトが来たら四人で行こうって前から決めてたんだよ」
「え? マジか――ってもういねえし!?」
ユキトの反応を待たずに早速さとタッツーは消えてしまい、一人で町を少し歩いてから宿屋でログアウトしようとしたがお金を持っていないため、路地裏でログアウトした。
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