第3話 出会いと記憶(1)

メンバー顔合わせまで1週間。

バットは手に入れることが出来たがグローブはまだ用意出来てない。

昼休みだろうか、1人の小柄な女子が訪ねてきた。

「ねえ、君が生駒君?」

「まあ、そうだけど」僕は女子とは関われないタイプの人間なため動揺していた。

「私だって野球チームに入るんだ!よろしくね!」

なんか凄い明るい子が来たな。

「よろしく」僕が言うと目があってしまいとても恥ずかしかった。僕は顔を背けた。

「じゃあね、来週よろしくね!」

そういうと自分のクラスに帰って行った。

奏は学校で1番人気と言っても過言ではない子だ。容姿にも恵まれ、学年で一番の巨乳の持ち主だ。

その日の帰り道の事だった。僕が歩いているとゴミ箱が倒れる音と男子の笑い声がした。

僕は嫌な予感がして隠れながら様子を見に行くことにした。

見た時、自分は衝撃をうけた。

学年でも有名な不良グループに口にはハンカチをねじ込まれ、両手を縛られ囲まれているじゃないか。

「富岡さんよう、少しヌード写真を撮らしてくれと言っているだけじゃないか」

「嫌に決まっているじゃない」奏は拒否した。

「いい度胸してるな、動画の撮影に切り替えろ。俺が力ずくでやってやるよ。」

不良はニタニタしながら言った。

この不良の集団とトラブルを起こせば面倒なことになるのは確定だ。本当に申し訳ないけど自分は見て見ぬふりをして帰ろうとした。

その瞬間、奏と目があってしまった。涙目になりながら僕を見ている。助けてやりたいが目をつけられては学校生活に支障がでる。まず、助けに返り討ちにされて学校で言いふらされたらカッコ悪いじゃないか。でも、ここで逃げたら奏は辛い目にあうだろう。

「じゃあね、来週よろしくね」

奏が僕に言った一言。それは、野球チームで一緒に活動するメンバーだから一緒に頑張ろうというメッセージ。

野球は集団スポーツだ。1人では出来ない。

本当は嫌だけど、僕は奏を助けるために不良達の方へ走って行ったのだった。

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