アミーゴ

KOBA

シーズン1 「結成編」

第1話 勧誘

皆さんは、実際に野球をやったことはあるだろうか?これは僕、中学3年の生駒一生の記憶の物語である。

20‪‪✕‬‪✕‬‪‪年の夏、僕の周りでは野球ブームが流行していた。白球を打ち、全力で塁に向かって走る。ルールも完璧に理解していない僕だったがユニフォームを泥だらけにしてプレイする選手達には惹かれるものがあった。

ある日、幼馴染で隣のクラスの田村裕樹に声を掛けられた。

「よう、今日も元気か?」

「別に普通だよ」僕は答える。

「一緒に野球チームを作らないか?」

まさかの誘いに僕は驚いた。確かに野球と向き合っている選手達には憧れる。彼らみたいに活躍出来たら楽しいだろうが未経験でルールも完璧に理解出来ていない自分が出来る訳が無い。

「ごめん、自分は野球は好きだけどプレイするのは興味無いんだ。他を当たって..」

僕はここで1つ嘘をついた。興味が無いわけではない。本当は自分もやってみたい。

でも素人の僕が試合に出て、観戦にきた知り合いの同級生の前で三振しまくったりボコボコに負けたらカッコ悪いじゃないか。

「生駒、ホント嘘つくの下手だよな」

「え?」

「表情にでててバレバレだ。何人か誘っているが全員が未経験者だ。俺らみたいなド素人の集団のチームが勝ったら俺たちヒーローだぜ。」

全然素人?いやいや絶対勝てないだろ。でも全員未経験者か迷うな。

「生駒は素の運動神経もいいし一緒にしよよ」

僕は田村に「明日までには決めるから一日考えさせてくれ」といい自分の教室に戻った。

考えれば考えるほど僕が負けている最悪な光景しか浮かんでこない。でも、この機会を逃したら自分が野球をする事はないだろう。その時自分の頭に昔の担任がクラスに言った言葉が頭に過ぎった。

「今死んでも後悔しない人生をおくれ」

自分は今回断ってしまったら後悔するだろう。本当は打ったり投げたりして活躍したいからだ。

「決めた!俺は野球チームに入る」

無理だったら無理でもいい。精一杯取り組んでから決めよう。

そして次の日の朝、僕は田村にチームに入る事に決めたことを伝えたのだった。

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