第11話 新たな一歩②

 ピピピ、ピピピ。


 昨日セットしておいたアラームが鳴る。


「ふわぁ〜今日からだ、今日から僕は少しずつ変わるんだ。」


 いつもは憂鬱な朝だが今日は違う。

 明確な目標があるからかやる気に満ちている。


「とりあえず着替えて弁当作ろう…髪も今日はボサボサのままじゃなくちゃんと治そう。」


 そう決めた僕は布団から出て早めに準備をした。



「髪はこんなものでいいかな?まぁ、寝癖を直しただけだし変ではないだろ、きっと多分そう。」


 初めて髪を自分でとかしたので少し緊張した。

 髪も含め準備がすべて終わったので少し早いが学校へ行く。


「じゃっ行ってきます。」

 そう言い学校へと向かう。



 ※



「少し早過ぎたかな?」

 教室に着いた僕はそう思った。

 何せ教室には誰も居ないんですもの。

 まぁ、居なかったら居なかったで一限目の準備をしておき、スマホでニュースやラノベを読み時間を潰す。


 いつもは顔を伏せて見るが、今日は伏せずにそのまま見る。

 これも俺なりの変わろうとした結果だ。

 口調も今変えたが変だろうか…それは雨宮さんに後で聞いてみよう。


 今日の目標は、髪を整える事、口調を変えてみる事、なるべく顔を上げる事、そして最後に自分から雨宮さんに声をかける事、この4つだ。


 初日にしては多いかなと思ったけどそこは頑張るしかない。

 クラスの皆に変な目で見られそうで心配だがそこは気合いだ。

 今日はとにかく頑張れ自分!

 どんな結果であろうと今日は特別によるデザートを付けよう…


 そう言って自分を鼓舞していたら誰か来たようだ。


「あれ?空君おはよう!今日は早いね?髪もボサボサじゃないし、もしかしてこれが変わるって事?」


「あ、雨宮さんおはよう。ま、まぁ初日の変化ってとこかな?具体的にどう変わればいいかあんま分からなかったからとりあえず思いついた事だけやってみたって感じ。」


「ふ〜ん、まぁ初日にしては頑張るじゃん。」


「ありがとう、へへ。あそうだ雨宮さん昨日のお礼に今度雨宮さんが食べたいって思う料理俺が作るよ!」


「え、いいの⁉︎やったぁ!」


「うん、だから何がいいか考えておいてねちなみに何品でも作るからね?」


「うん分かった考えておくし楽しみにしてる!」


「麗華ー!おりゃ!」


「ふごっ⁉︎」

 元気な声と共に雨宮さんの背後から何かが飛んできた。


「不意打ち成功!おはよう麗華!とえ〜と誰だっけ、ちょっと待ってね、え〜とうえはらじゃなくてうえまじゃなくて」


上田うえだだよ日向、あと不意打ちタックルすな!」


「そうそれ上田君!ごめんね、思い出せなくて…」


「う、ううん平気だよ、俺普段陰薄いし覚えてないのも無理ないよ滝谷さん。」

 不意打ちタックルの犯人はどうやら滝谷日向たきやひなただった。


「にしても珍しい組み合わせだね、2人で何話してたの?教えて教えて!」


「上田君、話しても良い?」


「う、うんいいよ。」


「実は昨日上田君の家で遊んでまして…その時食べた上田君の作った料理が美味しくてさっき上田君とその事を話してたの」


「え、上田君料理できるの⁉︎しかも麗華の舌を唸らすほどの腕前とは…ウチも食べてみたい!麗華だけそんな美味しい物食べてずるい!」


「ずるいって日向上田君が嫌がるかもしれないでしょ?アタシは上田君が良いって言うな何も言いはしないけど…」


「ねぇ、上田君駄目?」


「う、眩しい…」

 まるで餌を欲する子猫とようなつぶらな瞳をする滝谷さんの目がとても眩しい。

 でも待てよ?これはもしかして変われるチャンスなのでは?

 自分から友達を作るチャンスなのでは?

 これは、受けるしかないな。


「わ、分かった、いいよ。」


「ふふ、やったー!」


「ありがとうね空君」


「いいよ別に、人に食べてもらうのは嫌いじゃないし……それで、いつにする?」


「明日とかどうよ?」

 雨宮さんが言った。


「お、良いじゃん!」


「分かった。あともう一つ、料理のリクエストとかある?一応揚げ物とか一通り作れるけど…」


「え⁉︎上田君揚げ物いけるの⁉︎」


「うんまぁ一応。」


「ねぇ聞いた麗華!揚げ物だって揚げ物!うちらの家あまり揚げ物出ないでしょ?久しぶりに食べたくない?」


「うんめっちゃ食べたい…特に唐揚げ」


「うん唐揚げ良いね!へへ」


「空君唐揚げ食べたい!」


 2人がよだれをじゅるりとしながらこちらを見る。


「分かった、他に食べたい物が出てきたら言ってね、今日の放課後までに。物によっては今日から仕込みをしないといけないから。」


「「はーい!」」

 2人が同時に言う。


「朝のHRむ始めるから席に着いて〜」


「おっともうそんな時間か、じゃあ空君またね」


「またねー」


「うん。」


 2人と話していたら朝の時間があっと言う間に無くなっていた。

 朝の時間に人もこうやって話すのも悪くないな。


 後、さっきまで気付かなかったが周りの視線がすごい。

 特に男子…

(おい、俺をそんなに見ても何も出ませんよ〜だからそんな一気に皆んなで見ないで!怖いし変に緊張するから!)


 てな訳で急遽俺の家で雨宮さんと滝谷さんに手料理を振る舞う事になった。





 あとがき


 読書の皆様おはこんばんにちは!

 今回は如何だったでしょうか。

 楽しめたなら幸いです。

 そして明日から2日おきにこちらの方を更新する事に致しました!

 最近モチベーションが結構出てきて参りましたのでモチベーションが無くなるまで2日おきに更新していこうと思いますので何卒ご理解して頂けると助かります。

 もしよかったら応援の方をして頂けると私自身のモチベーションが爆上がりするのでお願いします!

 次回の更新をお楽しみに!

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