第2話
(どうして?......何で神父さんがあのことを探りに?わからない、わからないわ......)
少女は考えていました。
神父の大声は、癖などではない。おそらく、誰かに聞かせる為にわざと大声を出していたのだと。周りの反応を確かめるために。
なぜならあの神父は、村長の方向を向いてこそいたが、目は村長を見ていなかった。
(むしろ、わたしの方を......)
少女は自分の中から出てくる疑問に、ただ困惑していました。
どれだけ時間がたったのでしょう。
ドン
と、少女の家の扉が叩かれ、
続いて
ドンドンドン
と連続して叩かれました。
少女は嫌な予感がしていました。
(もしかして......)
少女が恐る恐る扉を開けると、
「やぁ。こんにちは、逃走少女リゼ・アンドラフォーゼ。ちょっとお話......いいかな。」
あの長身の神父、マクラゴ・ヘルハウンドが立っていた。
(どうしてわたしの名前を?というか何で家の場所を?)
「どうしてわたしの名前を?というか何で家の場所を?......という顔だな。簡単なことだ。逃げた君は確か人が集まったかなり後に来ていた筈だ。騒ぎを聞きつけてから入り口にくるまでに時間がかかったと言うことだから、つまり家は入り口から遠い。それに逃げた方向は入り口から見て正面奥側。方角で言うと北側。この村は人口50人ほどだったかな?小規模な村だ。子供の数はそう多くない。そこから考えて、大体入り口と反対側の北側に少女は住んでいないかと聞いたのだよ。あの......え〜.......パルムにな。ま、もし誰も逃げなかった場合には、しょうがなく地道に家一軒ずつ訪ねるつもりだったがね。手間が省けて助かった。」
ヘルハウンドは飄々と答えました。
(自分の言葉に対する反応......来た時間まで......まさか、あそこに集まっていた人がいつ来たか、全員分覚えていたってこと?)
リゼと呼ばれた少女は気味が悪いと思いましたが、
「私に何の用が?」
と、警戒しながら言いました。
「あぁそうだな。本題に入らなければね。
君の両親が自殺した理由が、知りたいのだ。」
リゼの背筋はぞくりと震えました。やはりこの神父は何か知っている。わたしの親が死んだ理由を、そして、彼女が死んだ理由が何か知っている。と、リゼは思いました。
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