第13話 神様への願い事


 ―――ねえねえ、ケンタ。美人は、関係ないんじゃなあい?


 ―――なんてケンタにツッコミを入れたかったが、そんな状況ではなかった。後先考えずに行動するので、ケンタは本気で怒ると厄介やっかいな奴なのだ。そうなる前に止めないと、話がややこしくなる。


 そんな状況が、ショックな話を聞いて圧し潰されそうになっていた桜の心を奮い立たせていた。


「―――ケンタ、お願いだから落ち着いて。今は、この人と話すのことが大切なの。

 リーダーや、あの子の命が関わっているかもしれないんだよ?」


 桜にそう言われて引き下がったケンタは、渋々といった様子だ。―――危ない処だった。なぜってケンタは、もう肩にかけたエクスカリバーに手を伸ばしていたからだ。



 ………バカケンタ。


 そんなことで怒ったって、しょうがないじゃない。


 ―――でも、ありがとケンタ。



 心の中でケンタにお礼を言いながら、桜は女の子に向き直った。



「―――ごめんなさい。私には、心当たりがあります。

 私は確かに、あの子をやっつけてほしいって神様に祈りました。でも今は、そうしてしまったことを後悔しています。もしその願いを神様が聞いていて、そのせいでリーダーとあの子に呪いの糸が繋がってしまっているなら、私はその糸を切りたいです。


 どうしたら、糸は切れますか?私は、どうしたらいいんですか?

 ―――教えて下さい」



「………い、祈ったの? そ、そんな………!呪いの糸を辿って糸が出ている人に出会えれば、いずみちゃんを助けられるかもしれないと思ったのに………!


 神様が相手じゃ……もう私達では、どうすることも出来ないです!

 いずみちゃんが、死んじゃう――!いずみちゃん―――!いずみちゃん―――!」


 崩れるようにその場に座り込んでしまったその人に、桜は思わず抱きついた。


「………ごめんなさい!本当に、ごめんなさい。私が何も考えずにそんな願い事をしたから、リーダーとあの子が酷い目にっちゃったんですね。

 リーダーとあの子を助ける為なら、私は何でもするつもりです。今からでも、何か方法は無いんですか?」


「神様は、私達がどうにか出来る存在じゃないですぅ~。神様は一度決めたことは絶対にくつがえしたりしないから、もう何も―――!うぇぇえぇぇ――ん!」


「そんな………! そんなのって、あんまりだよ! うぇぇえぇ―――ん」


 抱き合いながらビービーと泣いている二人に、ケンタが近付いて行った。



「………ちょっと待ってよ、桜」


「あんだっていうのげんだ!?いま、どりごみちゅうぅ~!」


「いやさ、桜がやっつけてほしいって祈ったのは、あの子に対してなんだろ?じゃあ何で、リーダーは事故に巻き込まれたんだ?」


 ケンタにもっともなことを言われて、号泣しながら抱き合っていた二人はハッと顔を見合わせた。


「………確かに、あなたからは黒い糸が一本しか出ていません。じゃあ神様に届いている願いは、一つだけってことですか?」


「………はぇ? だってわたし………あの子をやっつけって、祈っただけだもん。あと無事に家に帰してって―――」


「本当ですか!? ―――そう言えば、先程あなたは糸が切れない例外に心当たりがあるみたいでした。どうして神様が関係しているって思たんですか?」


「そ、それは夢を視たから………!」


「それは、どんな夢なんですか?詳しく教えて下さい!」


「は、はい! ええっと………」


 そこで桜は、今朝視た夢の話を詳しく話した。すると話していくうちに、さっきまであんなに泣いていた黒髪の女の子の顔つきが変わっていった。



「―――もしかしたら、いずみちゃんを助けられるかもしれない!」


「ほんとぅ!本当なの!」


「はい!安心していい状況ではないけれど、希望はあると思うんです。

 ―――改めてお願いします。お二人の協力が絶対に必要なんです。私にとって、いずみちゃんは、ずっとずっと一緒にいてくれる大切な人で、私はどんなことがあっても、いずみちゃんを助けたいんです。どうか、どうか力を貸して頂けませんか?」


「も、もちろんです!私は桜っていいます!こっちはケンタ!」


「………よかった、お力を貸して下さるんですね?

 桜さんとケンタさん、私は黒木青葉くろきあおばといいます。すぐに二人に会って貰いたい人がいるんです。その人なら、必ず助ける方法を見つけ出してくれるはずです」


 パシパシとケンタの背中を叩きながら、桜は立ち上がった。涙で濡れた頬をゴシリとこすって、顔を上げる。もしかしたらリーダーとあの子を救えるかもしれない。 

 

 ―――こんな処で、泣いている場合じゃない!



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 そして二人が黒木青葉と名乗った女の子に連れられて訪れたのは、『輝命寺こうめいじ』と書かれた立派なお寺だった。青葉から、これから私の家に行きましょうと言われていたので、お寺の門に青葉が入って行くのを見た桜は、かなり面食らった。


「………あの、青葉さん。ここお寺ですよ?このお寺に何かあるんですか?」


「はい? ―――ああ、えっと、ここが私の家なんです。お父様が、このお寺の住職様をなさっているので………」


「えっ!青葉さんって、お寺の家の子なの!?」


「はい、そうです。私達家族は、このお寺に住まわせてもらっています」


 どおりで………


 黒木青葉は、すごく不思議というか神秘的な感じの雰囲気を持った人だった。彼女は見た目そのものもそうなのだが、言動も普通と違っていた。

 此処に向かう道中では歩きながら誰もいない場所をじっと見つめていたり、この道は危ないのでこっちの道にしましょうと言ったかと思うと突然に道を変えたり、桜達には理由が分からないことばかりだった。


 もしかして呪いの糸が視えてるくらいだから、幽霊とかも視えているのかなとは思っていたが、まさかお寺の娘だとは………


 自分よりも年下の桜達にも彼女は敬語で話し掛けてくるので、どこかの良家のお嬢様だろうとは思っていたが、これで合点がいく。


 物珍しさに辺りをキョロキョロと見回している桜達を他所に、青葉は本堂の横にある細い通路へと足を進めた。その通路の奥には木製の階段が有り、上ると本堂へと続く扉があった。その扉を開ける前に、青葉は一度歩みを止めこちらを振り返った。


「この扉の先に、二人に会わせたい人がいるんです。あの子も、この中にいるんですよ。でも中に入ったら、あなた達はきっと驚くと思います。………覚悟を、しておいて下さいね」


「か、覚悟って………? 何の、ですか?」


 振り向いた彼女は、ずっと年上の大人に見えた。さっきまで一緒にいた女の子は、とっても綺麗で神秘的ではあったけど桜達と同じ子供だったのに………


 笑顔を見せたりすることこそ無かったけれど、彼女にはずっと一緒にいたいと思える友達がいて、その友達ことを心から心配して涙を流せるようなピュアな女の子だった。でも、今の彼女からは―――神秘的を通り越して冷たさを感じる。


 それは、桜の心を芯から凍えさせるような冷たさだった。


 コクリと、緊張で乾いた喉が鳴る。



「―――闇を、視る覚悟です」



 スッと扉を開いて、彼女は中に入って行った。


 その姿を見送った桜は、ケンタと顔を見合わせた。




「………ねえケンタ。私は、行くよ?」


「………ああ、分かってる。もちろん、俺も行く。俺たち、ヒーローだもんな」


「―――うん。あの人と、あの子を絶対に助ける!私たち、ヒーローだもんね」



 桜とケンタは頷き合うと、一緒にその世界への敷居しきいまたいだ。


 きっと、そこで二人を待っているのは―――


 あの黒髪の女の子が忠告した通りの、恐ろしい世界なのだ。


 











 ☆あとがき☆




 こんにちわ!🌞、こんばんわ🌙!

 今日もこの物語のページを開いて下さり、本当に本当にありがとうございます!


 そして――!たっくさんの応援を、いつもありがとう!

 引き続きの応援―――どうぞ、よろしくお願いいたします。(*_ _)ペコリ



 黒木青葉くろきあおばと名乗った黒髪の美少女に連れられてやってきた、とあるお寺。そこで、桜とケンタを待ち受ける人物、そして闇とは―――?


 ごくり―――


 な、何だか、恐ろしい展開になってきちゃいましたね!💦

 桜ちゃんとケンタ君、大丈夫かなぁ…………?


 

 ―――ううん、きっと大丈夫。

 二人なら、サニーイエローとあの子を助ける糸口を、きっと見つけてくれる!


 桜ちゃんとケンタ君!頑張れ~!(≧◇≦)💦



 ―――と、いうことで(笑)


 ☆と💗そして――作品とわたくし虹うた🌈のフォローで、どうか二人の応援をよろしくお願いしま~す!







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