魚だったら

 川の中をすいすいと泳いでいく魚を眺めながら、もしも自分が魚だったらと考えてみる。

 そうだったら私は今よりもっと自由に、好きなように泳げたのだろうか。

 いいや、と首を振る。きっと無理だ。

 毎日泳いでないといけないから、すぐに嫌になっちゃいそう。人間に捕まる危険もあるし。

 私が楽しく泳げるのは、人間だからこそ。

 「タイムを縮めろ」だの「もっと美しく泳げ」だの、やかましい人達もいるけれど、なんだかんだ泳ぐのは好きだ。

 そんなことを考えていたら、なんだか泳ぎたくなってきちゃったな。

 今度の休み、プール行こうっと。

 使用する上でのルールはあるけど、少なくとも授業や部活よりは自由にできるもんね。

「バイバイ」

 近くを泳ぎ回っていた魚に何気なく手を振ってみる。すると魚はそれに呼応するかのように飛び跳ねた。

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