インスタントフィクションの貯作箱

チェンカ☆1159

ヘンテコな天気

 空が明るい。

 今日は朝から雨が降っていた。仕事中にあがったのだろうか。もしそうだとしたらありがたい。

 しかし外へ出てみると――冷たい。

 雨は止んでいなかった。天気雨というやつだ。

しかも風が強い。

 手にはお気に入りの折り畳み傘。開こうにも上手く開けない。強風で壊れてしまうのを恐れ、傘をさすことを諦めた私はそのまま濡れて帰ることにした。

 天気は良いのに、憂鬱だ。

 長い溜め息が口から漏れる。

 ふと、視界の端に七色が見えた。

「あっ」

 虹だ。思わず立ち止まる。

 可視化できたのは端の一部分だけだった。虹として完璧とは言えない。

 でも、綺麗なことに変わりはない。

 僅かでも虹が見れたなら、こんな日も悪くはないな。

「よしっ」

 少しだけ気合いをいれて歩き出す。

足どりは自然と軽くなっていた。

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