第337話
〜〜 4月17日 京都駅 〜〜
「はい、という事で京都着きましたっと」
「京都…奈良なら修学旅行できた事あるけれど京都は来なかったから初めてだったな…手土産無難だがら東京バナナにしたけれど大丈夫だよな?」
「名古屋のきしめん美味かった。おかわりしたかったけれど時間的に無理…帰りに再度行こう、今度はかき揚げ入りのやつ食べよう」
赤城さんからの提案で俺達〈狩友〉は赤城さんと一緒に京都に来ました…姉さんを除いて。
「…というか以外、てっきり千花さんは〈狩友〉に入ると思っていたのにメンバー入りしていないんだね」
「ま、その方がお互いメリットが大きいからな。それに国が一箇所にダンジョンを制覇できる人物が集まりすぎるとダンジョンの制覇の効率が悪くなるとか色々言われたし仕方がないよ」
「…そうなんだ」
『軽戦車はロマン、異論は認める』と書かれたTシャツの上にパーカーとショートパンツに義足を装備した夏美とそう会話しながら全員で東京駅から出る。すると…
「赤城お嬢様、〈狩友〉の皆様、お待ちしてました!」
「「「ようこそ、京都へ!」」」
そこには4台の人力車とそれを引くであろう人達が俺達全員を出迎えてくれた…何故に人力車?
「え?確かにお父様からは迎えの車を向かわせるって聞いてましたが皆さんとは聞いてませんよ?」
すると赤城さんもまた予想外だったのか1人の人物に近づいて話始める。
「はい、実はこれは当主様からの指示でして…」
「お祖父さ…当主様が?」
「はい、『人力車で遠回りのルートを使い、現在の京都の状態を実際に見てもらったほうが話しやすい』との事です。後、お父上様から『今回の話を聞いて
「そうですか…なら仕方ありませんね。それなら、今日はよろしくお願いします」
赤城さんはそう会話をした後に遠い目をして空を見上げてる。話を聞くに時間がかかる案件ができたから観光でもして時間を潰せばいいのだろう。
「…
ただ、一二三だけは何かが引っかかっていたようだったのが気になった。
〜〜〜〜〜〜
「ここが東寺ですね。世界遺産にも登録されている寺なんですよ」
「…」
「渉、せっかく赤城さんが説明してくれているのにどこを見ているの?」
「…すまん桜。少し気になった所があったから見たんだ、気にしないで」
〜〜〜〜〜
「ここは三十三間堂、観音像が1000体もあるすごい場所なんです」
「…いや、圧巻すぎて怖いな」
「叶に同意、子供が見たら泣くでしょコレ」
〜〜〜〜〜
「ここが京都タワー…って何でミリアさんはマラカスを持って外国の観光客と踊っているんいるんですか!?」
「あら、踊りは万国共通のコミュニケーションなのよ。知らないの?」
「…」
「…渉、さっきから変だよ、大丈夫?アタシの膝でよければ貸すよら最近改造してヒーターを内臓したからあったかいから気持ちいいよ?」
「…大丈夫だ。取り敢えずメイド服でブレイクダンスをやり始めたミリアさんを止めてくるわ…ん?今聞き捨てならない事言ってなかったか夏美!?」
〜〜〜〜〜
「…おかわり」
「一二三さんや、いくらうなぎのきんし丼が気に入ったとはいえ食い過ぎ。もう8杯目だぞ?」
「叶、私はまだイケる。具体的には後25杯は余裕」
「うなぎを焼く人が過労になるわ」
〜〜〜〜〜
何やなんやで俺達は京都観光をして、そして遂に日本家屋の大きな家の門の前に到着した。
「すみません皆様、お待たせしました。ここが最終目的地の赤城お嬢様のご実家でございます」
「優香さんの実家より古そうだな」
「確かにすごい家だね」
人力車を引いていてくれた人が人力車から降りるのを手伝ってくれながらそう言っていたので一緒に乗っていた桜と会話しつつ人力車から降りていく。
そして全員が降りると人力車はすぐさま何処かに向かって走り出した。
「取り敢えず中に入りましょう。お父様と当主様には事前に連絡をもらっていて、すでに準備を終えて部屋で待っていらっしゃいますから」
その人力車の後ろ姿を見ていると赤城さんが一回手を叩いた後にそう言って自宅の門を軽く叩く、すると門がゆっくりと開き始め…
「「「お帰りなさいませ、赤城お嬢様!」」」
「「「師範代、長旅お疲れ様でした!」」」
大量の着物を着た女性と道着を来た男性が赤城さんを出迎えた…いや、普通に怖いわ。
「皆さん、お出迎えありがとう。お父様達は客間ですか?」
「いえ、菊の間でお待ちです。他にも分家の方々も同様にお待ちしています」
「一族の会議に必ず使う菊の間…ですね、分かりました。皆さん、私の後についてきて下さい」
そんな人達を見ても一切動揺しないで1人の男性と軽く話した後に俺達に向かってそう言うと歩き始めた。俺達も少し緊張気味だったが全員が赤城さんの後ろ姿を追い、屋敷の敷地内に入る。
その後は屋敷の玄関から入り長い廊下を幾つか曲がったりしながら歩くこと4分、菊の絵が描かれた襖の前で赤城さんが止まった。
「赤城です、只今お客様をお連れして帰宅しました。今から中に入っても大丈夫でしょうか?」
「ああ、入りなさい。但し叶君は赤城の隣に座ってくれ、その方が皆が良く顔を見れるからね」
「分かりました、当主さ…
「今はお爺ちゃんでいいよ、頭の硬い純血派はこの部屋にはいないんだからね」
…分かりました、お祖父様。叶さん、すみませんが私の隣に来て一緒に入って下さい。後の方々はすみませんが私達の後ろから入って下さいね」
赤城さんは襖越しに誰かと会話をすると真顔で叶を見る。その真剣な顔に叶も真剣な顔になりながら赤城さんの隣にいき、そのまま襖を開けて赤城さんと一緒に中に入っていく。
俺達も全員が真剣な顔になり、叶達が入った後に全員が順番に入っていく。中は大部屋になっていて、部屋の両橋には一列で正座をしながらこちらを見ている様々な人達がいた。初老の男性から若い女性、まだ幼い子供や還暦を迎えていそうな老人まで様々な人が一斉に真剣な顔で俺達を見ていて、この場が一切のおふざけなどは許されない場所である事を肌で感じる位だった。俺達はそんな中部屋の中央に敷かれた座布団まで歩き、赤城さんと叶が俺達の前に座る様な配置の座布団に全員が座り、前を向く。そこには歴戦の戦士のような雰囲気を出し、顔中に刃物による傷跡らしき物が大量について…いや、来ている和服から見える体の部位にも大量に傷がついている。そんな感じで長い白髪を背中で一本に編んでキセルを加えている老人と、その隣には大仏を彷彿とさせる位の頭が見事に禿げている大男が上座に座っていた。
「お祖父様、只今帰りました」
「おう、お疲れさん」
「お父様も、息災のようで何よりです」
「…ああ、赤城も元気そうで何よりだ」
赤城さんが全員が座布団に座ったのを確認すると、それぞれに帰宅の挨拶をしたので俺達が上座に座っている老人が赤城さんが言っていた当主様で、隣にいる大男がお父様である事を理解した。
そして遂に当主様が俺達を見て口を開く。
「長旅ご苦労だったな〈狩友〉の方々。ワシが現桐条家当主
桐城
「そしてオレが次期桐城家当主であり赤城の父親の 桐城
「「「ブッ!?」」」
俺達〈狩友〉は名前を聞いた瞬間に盛大に吹いた。二段構えはずるいと思う、本当に。
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