第328話 アイドル達の配信事故×助太刀異常者=楽しい日々 6
「な、何でい…
『黙れ女の敵が』
『ですよ』
ハブチ!?」
出我RASEは想定外の有名人の登場に動揺するが、そのせいで隙が生まれた。その隙を大狐の術で巨大化したコク糖ともち丸に攻撃されて二匹がかりで馬乗りにされ拘束される。
「もち丸、コク糖。そのまま抑えていてくれ、キナコは少しの間の時間稼ぎを頼む!」
「あらあら、了解よダンナさん♪」
渉が出我RASEの拘束に成功した様子を見て直ぐにそう叫ぶと、もち丸の背中からエプロン姿のキナコが飛び降りつつ背中のフライパンを構える。
渉はそのまま満身創痍の2人を見ようとするがモンスターは関係ないと突進してくる…が、
「あらあら、久しぶりに張り切っちゃうわね!」
キナコはそれに反応してタイミングよくフライパンを振り下ろし、突撃してくるモンスターの超玉カエルを足元の沼地に叩きつける。
超玉カエルは確かに弾力性が高く、並の剣の斬撃や岩にぶつかっても直ぐに跳ねる。まるでスーパーボールのようだが、実は彼らにも跳ねることのできない場所がこの場所にある。それは液体のような衝撃を拡散されてしまうの場所であり、もしそこにぶつかればせっかくの突撃でも止められてしまう。
「あらあら、ダンナさんの作戦通りね。なら…久々に
キナコはそう言っていつもの細目を一気に開眼させてモンスターの中に突撃する。
渉は事前に高いお金を払い事前に六本木駅のダンジョンの中層と深層の情報を買っていて、このモンスターについても詳しく知っていた。だからもし襲われた場合の対処法も情報として知って居たので、このモンスターと戦闘する場合は刀を使うもち丸や重い木槌を使うコク糖よりもフライパンという攻撃できる面積が広く片手剣の様に扱えるキナコを軸に戦闘をする作戦を事前に説明していた。
だから今キナコは突撃してくる奴超球カエルは沼地に叩きつけ、下を伸ばして鞭の様に攻撃してくる奴は回避するなど大立ち回りをして敵を注意を集めている。渉はその隙に百均で買った液体タイプのネイル落としが入ったプラスチックのボトルを取り出し、急いで白夜のピンク色の液体が付いた服の箇所に使い始める。
「え、何で?」
するとピンク色の液体がどんどんとネイル落としの液体と共に服から落ちていき、それと同時に周りにいた全ての超玉カエルはまるで我に帰ったような反応をした後に四方八方へ一目散に散っていった。
「超玉カエルの特殊な液体はな、ガマの油が入っているが実は油性マジックのインクと成分が98%同じなんだよ。だからネイル落とし…まあ、除光液をかければ間違いなく落ちる。それが布だろうが金属だろうが、除光液を吸って浮き出て地面に落ちるのさ。その際にフェロモンも一緒に中和されて消える、だから今後この中層にくるつもりなら百均でも買えるネイル落としは常備した方がいいぜ?」
渉はそう言って中身を使い切ったボトルをポーチにしまうと、次にスキットルを取り出して白夜に渡す。
「ほい、中身は回復薬αの麦茶味だから飲んで傷を治してくれ…あ、そのスキットルは新品のヤツだから気にせずそのままもらってくれ。どおせ安物だからな」
「は、はい!」
渉がそう説明すると白夜は急いでスキットルを受け取る。そして渉は白夜が受け取ったのを確認してからまたポーチからスキットルを取り出して未だ倒れている夜空に近づく。
「…背骨に一撃をもらったか。まだ痛むか?」
「…はい、お恥ずかしながら」
「恥ずかしがることじゃないよ…よし、キナコ。その盾持ちの子を護衛してくれ。俺はこの子を一旦岩場に連れて行く、もち丸とコク糖はそのままその男を縛るなりで拘束してくれ」
渉はそう言って夜空を優しくお姫様抱っこをすると岩場まで歩いて行く、その様子を彼女達の配信用ドローンが近づいて撮影しはじめた。
「ん?…あ、去年発売された最新モデルの配信用ドローンだ。しかもこのモデルはハイエンドタイプかよ、メチャクチャ高性能だけどお値段もメチャクチャ高いヤツじゃん…ん?という事は彼女達は配信者なのか?」
渉は近くの岩場まで行くとようやく近くで撮影していた配信用ドローンに気づくとようやく彼女達がはいしんしていたことに気がついた。そして渉はドローンから流れていくコメントを読み始め、最初こそ感謝や嫉妬のコメントだらけだったがその中から必要な情報を集めていく。
「…ダンジョンアイドルの『リバージ』…確か叶が拠点に持ち込んだ雑誌にそんなアイドルの記事があった気が…?」
渉がそう悩みながらも夜空のためにもう一個の回復薬α(麦茶味)の入ったスキットルの蓋を開けて飲みやすい体勢にしつつゆっくりと飲ませてあげていく。
そんな事をしているとようやくキナコと白夜が渉達に合流した。
「あらあら、ダンナさん大変よ。その子の武器のハルバードと彼女の武器のメイスが沼地に落としたっきり行方不明なの。このままじゃ彼女達が危険よ?」
「…マジか、それは不味いな…」
そしてキナコが合流して開口一番に言った言葉に渉は更に悩んでしまうのだった。
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