第301話
「ブッブラックマーケット!?」
「ヴォラ!」
佐々木の発言に驚く渡辺さんとようやく柵を破壊した父さん。
確かにそれに関しては驚きしかない…と言うか信じられない。
「元々この家は第一次世界大戦時に大日本帝国の陸軍が岐阜を守るためと空襲などを避ける為に秘密裏にだが陸軍が主導で地下に1年は籠城可能な陸軍の巨大秘密本部を作っていたんだよ。
その管理をしていたのが俺達佐々木家だったんだが、結局はその施設は使われずに放置されたんだが…そこにマフィア達が目を付けた。
奴らは親父に金を握らせ表向きには老人ホームの建築、裏では佐々木家の地下にあった施設を改装して地下の施設をブラックマーケットにしたのさ。だから老人ホームとこの家はいわばブラックマーケットの出入り口なんだよ。爆破してでも隠そうとするのは当然だ」
そう佐々木が話すと同時に父さんが佐々木の檻を殴って破壊する。
「…その話は知っている。『この町の地下に秘密基地がある』と言うのはここでは誰もが知っている迷信だったからな…実在するとは…」
「ああ、でも秘密基地は間違いなく事実だ。何せ数年前の真夜中に牢屋の鍵のかけ忘れに気がついたから抜け出して、その時に家の廊下で親父と遭遇してな、お互い殴り合いになったが何とか殴り倒した。んでその後に家から逃げ出す為に家探ししている最中に…」
父さんとそう話す佐々木は急に自分が座っていた場所からゆっくりと立ち上がる。そして座っていた場所にあったゴザを足でずらすと浅く穴が掘られており、その中に何かがあった。
「…USBメモリーか?」
「ああ、ご丁寧に親父の部屋のノートパソコンが作業中だったみたいでつけっぱなしだったんでな。逃げる際の手札として何かしら弱みを握ろうと近くにあったコイツにパソコンの全データをコピーしてココに隠したのさ。その際にパソコン内のデータを見て…俺は家族の過ちの全てを知ったのさ。
まあ、ここに隠してからいざ家を出るタイミングで親父の護衛に気づかれてな…だが、データを入れた物がどこにあるか分からないし、下手に上に話がいくのを恐れた護衛達によって俺は生かさず殺さずの状態だったってわけ。あのバカ達は座っていたゴザの下に目的のブツがあるとは考えなかったらしい、アホ達で助かった」
空間全体が揺れる中、そう話す佐々木と父さんの見る先には穴の中にジップロックに入れられた二本のUSBメモリーだった。
「最悪俺は助けなくていい、だがコイツは持って行ってくれ。そしてこの町を佐々木家から解放してやってくれ…あの笑顔の裏に悪意を隠した親父と純粋な悪意の塊の弟に引導を渡してくれ」
「佐々木…」
「俺は佐々木家の出来損ないだ…だからこそこんな家系は今すぐにでもこの世から消す必要があるんだ。
何が『江戸からこの地を守ってきた一族』だ、何が『帝国時代の陸軍から秘密基地を守るように命じられた優秀故に選ばれし血族』だよ…そんなんだから欲しか見れない最悪の性格に育つんだよ…」
隣の独房から何かが崩れる音と共に涙を流し始める佐々木、そんな佐々木を見た父さんは素早く穴からUSBを拾いアイテムポーチに入れると佐々木を背中におんぶした。
「…匂いとかキツかったらすまんな」
「別に気にしない、今の話が本当ならお前も私と同じ佐々木家に狂わされた1人だ。だから生き残って翔太の顔面に一撃入れる権利はお前にもある、だから今は生き残りデータが本物である事を証明しろ。もしデータが本物なら…」
そう言って父さんは佐々木が入っていた独房を出る。それと同時に佐々木のいた独房は天井が崩れ、瓦礫で埋まる。
「完全にお前を信じ、共に翔太に落とし前をつけよう。幸い仇の片方である父親はお前の行動の怪我で植物状態になっている、世間では強盗に襲われてそうなったっとなっているがな」
「…そうか、なら後は弟にケジメをつけるだけだな…親父の奴、因果応報だぜ…」
そう言って父さん達は俺達の方に戻ってくる、だが先程から揺れは激しくなるばかりでいつここも崩れるかわからない。
「渉、今から避難するのは無理だ。だから拠点を展開して中に避難するのは可能か?」
戻ってきてすぐに父さんがそう提案してくれる。確かに今すぐにでも崩れそうなこの場所から片足が無い俺を連れて外に出るのは不可能だろう、ならば一旦拠点内に避難して救助を待つ方が安全だ。
俺はそう判断して拠点を展開しようとした…その瞬間。
「アッツ!?」
首元が急に熱くなるのと同時に首元から鎖が天井に空いた穴から空に向かって伸びる。それをこの場にいた全員が驚いて見ていたがすぐに次の出来事が起きる。
「ここか、もち坊にダンナ!!」
「皆、無事かしら!?」
何と上の穴から両手にトランシーバーを持ったキナコをお姫様抱っこした状態のコク糖が飛び降りてきたのだ。
「み、みん…
「丁度いい足場発見!」
アボス!?」
そして、その姿を見たもち丸を迷いなくクッションの代わりにして着地した。
「もち坊、わりゃがつい取りながら何ダンナの左足を吹き飛ばす失態を犯してんだダボが!?」
「アタダダダダダダ!?!?」
「だ、ダンナさん!?ちょっと待ってて…こちらキナコ、要救助者発見。だけどダンナさんの左足が吹き飛んだまま再生してないの、このままじゃ上に上げられないからプランBでお願い!」
更に降りた後にキナコを地面に下ろした後にコク糖はそのまま下敷きになっているもち丸を足で踏みつけまくっており、もち丸も流石に悲鳴を挙げている。
キナコはキナコで俺を見た後にすぐトランシーバーを使い現状を報告する。すると今度はすごいスピードで上から木の根っこが降りてきて俺達全員を絡め取り、上に上げていく。
そして穴から出ると同時に俺達がいた独房は崩れ、穴から大量の粉塵がまった。
その後俺の首の鎖と同じ方向から木の根っこが伸びていて、そのままひび割れた地面を引きずられていく俺達。そして完全に砕け散り穴が空いた外壁の穴を抜け駐車場に出ると、そこに居たのは…
「『手間かけさせんなよ大将!』」
「「「渉!!」」」
人体総変異して自分の木の根を操作していた叶と桜、夏美、自分のErrorスキルを発動して自分の首のチョーカーに俺から出ている鎖が繋がっているレイちゃん、数名の自衛隊とヘリがあった。そして俺を見るなり抱きついてくる桜達三人を受け止めつつ俺はこう言った。
「ただいま、心配かけてゴメン」
「『なら帰ったら皆に飯奢りな。月の兎のハンバーグ&鉄板ナポリタンのセット希望』」
「はいはい、無事に帰ったら田中さんの所で腹一杯食わせてやるよ」
それは叶とそう話すとようやく皆の所に戻ってきたのだと実感したのだった。
なお、その後すぐに左足が無い事を思い出した桜に周りの目がある中で赤色のポーションを口移しで飲まされて全身の傷と疲れが回復して左足も生えました。やっぱり恋する女は最強だとわからされたのだった。
因みにこの場には一二三とミリアさんはいない、一体どこにいるのだろうか?
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