元の現代に近い世界に何故か転生しましたがこの世界にはロマンが足りません 〜狩りゲーがなくダンジョンがある世界にて〜

@katuonotatakpe

プロローグ

第1話

俺の名前は佐藤渉、マンション暮らしの普通の5歳児の男子だ。

だけど俺には秘密がある、それは転生した存在だという事だ。因みに前世の名前も同じ佐藤渉(35歳 下町の鉄工場勤務)である、正直びっくりした。

しかし神様に会ったわけでも車に轢かれたわけでも宇宙人に何かされたわけでもない。気がついたら転生していた、しかも5歳の誕生日の次の日に。

なんかこう…誕生日の夜にこっちの佐藤と向こうの佐藤が寝てる間に混ざり合ったというか…2人の佐藤が合体したとかそんな感じで朝に布団から目が覚めたら転生していた事を自覚していた。


「…5歳児…か…」


正直今の俺には昨日の記憶がはっきりとあるし前世の記憶もキチンとある。正直びっくりしすぎて逆に冷静になって分析している所で…


「…取り敢えず布団から出るか。腹減ったし」


自分のお腹が減ってきて仕方がなかったので布団から出てリビングに向かう。そこには台所でエプロンをつけた男性が料理をしていた。


「…ん?…起きたか。おはよう渉」


男性がこちらを振り向く


「おはよ。父さん」


そう今振り向いた男性は俺の父である佐藤雄二、シングルファーザーである。


「渉、朝食はテーブルに置いてあるから先に食べていなさい。今日は待ちに待ったあの日だからね。しっかりと食べて検査してもらうんだよ」


親父がそう言うとテーブルの上にある朝食である少し焦げたトーストと硬めの目玉焼きをのせた木のワンプレートを指をさして言う。


「うん、わかった」


俺は腹の虫を抑える為に急いでテーブルに向かい席に着きトーストに手をのばす。


(親父が言っていた検査って記憶通りならあれだよな…)


俺はトーストを齧りながらテーブルに置かれた新聞に目をやる。その記事には…


『東京にてまた新たなダンジョンが出現、調査の結果小規模ダンジョンと断定』


『今年よりダンジョン探索者専用学校及び学科を開校、更なるダンジョン攻略に力を入れる模様』


『また失敗!政府指導による147回目のダンジョン内銃火器使用実験はいつ成功する?』


『今年も全国のダンジョンギルドにて5歳児を対象としたジョブやスキルの検査を開始』



こんな感じの記事が目に入る。


(この世界はダンジョンがあるのかよ…)


俺はトーストを齧りながらそう思った。

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