Mission 2

「セブンスターとは、7人の優秀な者が集まった精鋭部隊の事だ」


「精鋭部隊って、Sランクよりも凄いんですか? それとなんで7人だけなんですか?」


「気になるとこそこなのね、灯」


「優芽はそこ気にならない?」


「私はそこよりSランクより上のSSランクの詳細の方が気になるわよ。 それと、なぜ長官は……その事を皆に黙っているんですか?」


情報漏洩じょうほうろうえいを防ぐためだ」


「セブンズの中に裏切る人がいるかもって事ですか?」


「いいや灯……いるかもではなく、実際に出たのだ。 セブンズから裏切り者が」


「え……」


紗音邑灯さねむらとも鷹宮優芽たかみやゆめは、裏切り者がいたと言う長官の言葉に、驚いていた。 少なくとも2人が秘密組織セブンズにいる間は、裏切り者など出たことない、そんな話は聞いてこなかったからだ。


「セブンスターがなぜ7人なのかと言っていたな、セブンスターは元々存在していない部隊だった。 名前も人数も……だが異なった精鋭部隊がいたのは事実だ。 部隊名はセカンドスター……略称〈SS〉……始まりは2人の優秀な人材による秘密部隊だった。 その2人の名が……薦田蓮こもたれん、コードネーム〈神眼〉……そしてもう1人が村内恵美むらうちめぐみ、コードネーム〈強心〉」



薦田蓮こもたれん……コードネーム〈神眼〉、戦闘スキルが高く、相手の動きを並外れた動体視力を駆使し、予測した後対処する。 まさに神の目。 任務達成率は100%……一人の犯罪者も取りこぼす事無く、まさに最強だった。


村内恵美むらうちめぐみ……コードネーム〈強心〉、薦田蓮程の戦闘スキルは無かったが、それでも現在のSランクと同等の実力は持っていた。 彼女の強みはどんな状況も冷静に分析し行動できる強い精神力。 薦田蓮との仲も良く、分析の恵美と撃破する蓮のダブルコンビはまさに最強だった。



だがある任務の最中に、薦田蓮は片眼を失い、村内恵美は瀕死状態へ追い込まれた。


テロリストを追い詰めた2人だったが、情報が漏れアジトに仕掛けられていた爆弾が爆発し、巻き込まれた2人の消息は不明のまま。


「2人はまさにセブンズの光だった。 だが我々は内通者の存在に気づけず、今なお消息不明のまま」


「その内通者って、誰だったんですか?」


灯は長官に聞いた。


「不明だ。 調べてはいるが、見つけられていない」


「マジですか……」


「長官は、私と灯にも内通者の可能性を考えているんですよね」


「あぁ、だがその線は今消えた」


「それはどうしてですか」


「相変わらず冷静だな優芽、この部屋に監視カメラがあることは気づいているだろうが、そのカメラは分析班の部屋に繋がっている。 セカンドスターの話をしている時、視線や脈の動きを見ていたが、内通者特有の反応が無かった。 よって疑いは晴れた訳だ」


「そうですか、では私と灯は」


「あぁ信用に値する」


「よく分からないですけど、ありがとうございます」


「灯も少しは考えなさいよ」


「ごめん優芽、私こういうの苦手で」


「それで、私と灯はこれからどうなるのですか。 セブンスターと言う部隊に入って、内通者を探すのが、新たな任務でしょうか」


「まさしくその通りだ。 紗音邑灯、そして鷹宮優芽、君たちにはこれからセブンスターに配属してもらい、任務を遂行しつつ、内通者を探せ」


「セブンスター、他の5人も、内通者の対象ですか」


「あぁ、もちろん怪しい者をセブンスターに入れた訳では無いが、何も分からない以上、同じ部隊の人間にも警戒しろ」


「(仲間を警戒か、なんかヤダな)」


「内通者の事は、優芽に任せる。 灯は嘘をつくのが苦手だからな」


「まあ灯はその方がいいですから」


「残りのメンバーの説明もするが、それを話す前に、セブンスターのリーダーだが、紗音邑灯、お前だ」


「! え……私が、リーダーですか」


「長官、失礼ながら、灯にリーダーは厳しいのではないでしょう」


「うっ……なんかそれはそれで複雑」


「鷹宮優芽、お前はサブリーダーだ。 灯を支えてやれ、形だけでも構わん」


「……分かりました」


「紗音邑灯の任務は、セブンスターのメンバーをまとめあげ、導いていくんだ。 そして鷹宮優芽、お前の任務は、灯を支えつつ、セブンスター員含め、内通者を探し出せ」


「了解」


「では残りのメンバーの説明をする。 それが終わったら、2人はメンバーの所へと向かうんだ」


長官から紗音邑灯、鷹宮優芽を除いたセブンスターメンバー全員の説明を受け、2人はメンバーがいる部屋へと向かった。


「どうしよう優芽、私リーダーとかやったことないし、不安だよぉ~」


「考えすぎよ、いつも通りやれば灯は大丈夫だから」


「優芽はなんでそんなに冷静なのぉ」


「別に緊張する事でもないし、普通じゃない?」


「普通じゃないよぉ」


「……ほら!」


「いた!」


優芽は気合いを入れる為、灯の背中を叩いた。


「なにすんのぉ?」


「これからはリーダーなんだから、ビシッとしなきゃ、じゃないとナメられてセブンスターは機能しないわよ」


「うぅ……」


「心配しなくても、私がいるんだから、アンタはいつも通りでいて」


「……分かった。 やってみるよ」


「そっ……その意気よ」


「私、リーダーしてみせる!」


部屋に着き、灯はノックしドアを開けた。


「(緊張はダメ、緊張はダメ、緊張はダメ)こ、こんにちは皆さん! 今日から皆さんのリーダーをさせて頂く紗音邑灯です! よろしk……」


「氷華さん! 落ち着いてください!」


「離せ佳奈! 私はこんな部隊抜けてやる!」


「(あれ~さっそくヤバいじゃん)」


この先が思いやられる灯であった。

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セブンスター 雨宮結城 @amamiyayuuki0523

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