息子を追っかけて異世界行脚 ~自動撮影アプリのせいで、嫁に息子が異世界を渡り歩いているがバレてます~
白雨 蒼
プロローグ
どうも、全国に存在する育児の励む皆様。毎日毎日お疲れ様です。
僕もそんな育児に励む父親の一人です。
そんな皆様に質問です。
――お子さん、かわいいですか?
僕はかわいいです。
親の想像なんて軽く飛び越えた驚天動地の行動の数々を披露し、親の心配なんて「知るかそんなの」と言わんばかりの自由気ままさで動き回り、好奇心に導かれるままに走り回り、理性か本能なのかまるで判らぬような衝動と共に暴れ回る。食べたくなったら食べたい。遊びたくなったら遊びたい。眠くなっているのに寝ようとしない。でも急に寝落ちちゃう。
そしてそんな子供の一挙手一投足に振り回され、苦労と疲労と疲弊と懊悩と感動がごちゃ混ぜになりながら、ほんの少しの憎たらしさと溢れんばかりの愛おしさを感じて止まない――そんな毎日を、きっと皆様も送っていることだろう。
誰だってそうだ。
僕だってそうだ。
苦労は多い。
悩みも多い。
しかし我が子の愛らしさは、そんな苦難のすべてを甘んじて受け入れ乗り越えられるものなのだと思う。
だけど。
だけど――
「……世界中探しても、この苦悩に晒されているのは僕だけよなぁ」
誰にともなくそんな独り言を零しながら、僕は途方に暮れそうになる。
目の前――と言うには、かなり遠くにいる我が子の姿。
にぱっと笑って「ぱ~ぱっ!」と手を振っている息子の、なんと愛くるしいこと。
ただし、それがひっくり返ったドラゴンの腹の上でなければ……ね。
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