タクヤ

俺にとってサヤカは初めての彼女ではない。でもこんなに大切に思ったのは初めてだ。

まだ最近20歳になったばかりの若造がこんなこと言っても大人に笑われるだけだろうけど、いずれ彼女と結婚したいと本気で思ってる。


大切に思えば思うほど、関係の深め方には悩む。

軽い付き合いだと思われたくはない。でももちろん触れたい欲求は強まるばかり。

サヤカはどう思っているだろう。手を繋いだだけで照れて黙り込み、フレンチキスで顔を真っ赤にしたサヤカ。半年記念日の今日は1つ先に進むきっかけにならないかな…なんて下心がないといえば嘘になる。


夕飯をどうしようか、なんて話をしながら車を走らせていると左車線を走る車の不穏な動きを感じた瞬間サヤカが叫んだ。


「危ない!!!!」


免許歴2年弱の俺には咄嗟の判断が出来なかった。

猛スピードで左から抜かそうとしてきた車が俺の車のほぼ真横で突然車線変更をしたのだ。


ほんの一瞬で頭をフル回転する。右側は縁、ブレーキを踏んでも間に合わない。でも幸いにも後続車は遠い。ギリギリまで右に避けて同時にブレーキを踏んだ。

と同時にこのままではサヤカに直撃してしまう、しかし高速道路上で瞬時にできることは何もない。

少しでも衝撃を和らげたくてサヤカの腕を全力で自分の方に引いた。


この時の俺の対応が正しかったかはわからない。

ただ、そこから先の記憶はもうない。

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