第5話
宿に帰った俺は、先程の現象をより突き詰めて考える事にした。
なぜ、スキル【開錠】が強化されたのかと。
「原因はどう考えても、『スキルキャンディー』だよな。それ以外考えられない」
そこで、キャンディーの特性を考えてみる事にした。
キャンディーを舐めると経験値が増加し、スキルが強化される事がある。
ただし、恩恵があるのはあくまで初心者レベルの話で、高レベルになるほど必要経験値が増えるため、キャンディーの恩恵を感じられなくなる。
しかも、多数のスキルを持っていると、どこに振り分けられるかランダムであるため、ますます用無しとなる。
「じゃあ、俺にはどうしてこんな事になったのか?」
考えてみると、思い当たる事はある。
まず、所持スキルが【開錠】のみである点だ。
どこに行くか分からない経験値ではあるが、選択肢が一つしかないのであれば、行先は唯一つ。【開錠】に経験値が振り分けられる。
しかし、【開錠】はすでにレベルカンストのLv10である。経験値など必要としない。
そこに経験値が無理やり流し込まれた結果、微々たる量とは言え、決壊させてしまったのだろう。
さながら、グラスギリギリのところを表面張力で支えていた水が、一滴加わっただけで溢れ出てしまったかのごとく。
「つまり、限界突破した【開錠】の効果は、鍵穴がなくても開ける事。心の扉すら、開けてしまえるということか!」
思わぬ事態に、俺自身も混乱したが、そこは腐ってもベテラン冒険者である。
突発的な状況であろうとも、冷静に分析しなくては生き残れない。
この目覚めたスキル、どう活用しようかと考えた。
そして、考えが煮詰まった。
「俺、足を洗って、
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